再婚禁止期間は違憲,夫婦同姓規定は合憲!ー最高裁大法廷が初判断
2015.12.16更新
こんにちは。日本橋人形町の弁護士・濵門俊也(はまかど・としや)です。
最高裁大法廷は,本日平成27年12月16日(水)午後,女性の再婚禁止期間規定(民法733条)と夫婦同姓規定(民法750条)をめぐる初の憲法判断を示しました。再婚禁止期間(現行は180日)については,100日以上を違憲と判断しました。他方,夫婦同姓規定は合憲(合憲10名,違憲5名)と判断しました。
「初の憲法判断」と書きましたが,大法廷判決という意味であり,少なくとも再婚禁止期間については初めてではありません。最高裁小法廷は,かつてつぎのように判示しました(最判平成7年12月5日裁判所時報1160号2頁)。
「民法733条の立法趣旨は,父性の推定の重複を回避し,父子関係をめぐる紛争の発生を未然に防ぐことにあるから,国会が同条を改廃しないことが憲法の一義的な文言に違反しているとはいえず,国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けるものではない。」
かつてブログにも書きましたが,再婚禁止期間については,かなり高い確率で違憲判決が下されるであろうと期待していましたので,穏当かなと思いました。
しかし,夫婦が同じ氏を称することを義務づけている民法の規定は,憲法に違反していないかという点は,まさに今回が初めての憲法判断でしたので,注目しておりました。ただ,なかなか最高裁が違憲判決を下すのは,かなりハードルは高いであろうと予想しておりました。結果としては,この予想は的中してしまいましたが,少し意外であったのは,反対意見が5名おられたという点です。現在の最高裁はリベラルな印象を受けます。
上記2つの規定については,女性差別に当たるとの,国際連合など国内外から批判が出されています。他方,規定を変えると,伝統的な家族観が壊れるとの意見もあるようです(とくに自由民主党にはそのような考えの人が多いように見受けられます。)。
最高裁は平成25年9月5日,結婚していない男女の間に生まれた子どもへの遺産相続をめぐり,法定相続分を定めた民法の規定のうち嫡出でない子の相続分を嫡出子の相続分の2分の1と定めた部分(900条4号ただし書前半部分)を憲法違反であると判断し,長年続いた家族の法的な問題について,決着をつける姿勢を見せました。大法廷決定からわずか3か月後の平成25年12月5日,民法の一部を改正する法律が成立し,嫡出でない子の相続分が嫡出子の相続分と同等になりました(同月11日公布・施行)。
本日の大法廷判決によって,「現代日本の家族のかたち」の到達点が一応示されました。おそらく再婚禁止期間規定は早急に改正されることでしょう。夫婦同姓規定については,国会での議論が大いに期待されます。
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