離婚・男女・親子問題

木下優樹菜さんと離婚、フジモンが「学費を支払ってる」 養育費は再婚するとどうなる?

2022.03.17更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。

 

弁護士ドットコムニュース編集部の依頼を受けて,記事を書きました。

 

・木下優樹菜さんと離婚、フジモンが「学費を支払ってる」 養育費は再婚するとどうなる?
https://www.bengo4.com/c_18/n_14249/

読んでいただけますと幸いです。

投稿者: 弁護士濵門俊也

相続問題,嫡出でない子の存在がどう影響する?

2022.02.21更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。

 

 

本日は,嫡出でない子の相続は,嫡出子とどう違うのか。相続問題において,どういう問題に発展する可能性があるのかについて解説していきます。

 

 

法律上の「子」には,嫡出子と嫡出でない子(講学上「非嫡出子」と呼ばれることが多いので,以下この用語を使用します。「婚外子」ともいわれます。)の2種類があります。

 

我が国においては,現状としては嫡出子の方が多数派となっていますが,近時の家族の在り方の多様性も反映してか,近年は,非嫡出子の数も増加傾向にあると言われています。

 

そこで,非嫡出子とはどのような子なのか,父母とはどのような法律関係があるのか等,基礎的な解説をいたします。

 

 

  • 非嫡出子(婚外子)とは

非嫡出子(「婚外子」ともいいます。)とは,婚姻関係にない男女間に生まれた子のことをいいます。

これに対し,嫡出子とは,婚姻関係にある男女間に生まれた子のことをいいます。

ここにいう「婚姻関係」とは,いわゆる「法律婚」のことであり,事実婚である内縁関係は含まれません。

嫡出子と非嫡出子は,生物学上の「子」であることはそのとおりなのですが,法律上の親子関係の観点からは,両者の間には,若干の法律上の取扱いの違いがあります。

 

 

  • 非嫡出子が父親と法律上の親子となるには認知が必要

非嫡出子は,嫡出子と同じく,実の母親の分娩により生まれてきます。

非嫡出子と母親との間に親子関係があることは分娩の事実により明らかなので,法律上の母子関係は当然に発生すると解されています(最判昭和37年4月27日民集16巻7号1247頁)。

 

これに対し,非嫡出子は,母親が婚姻中に懐胎した子ではないので,父親との間の親子関係が推定されません(民法772条1項)。

よって,非嫡出子と父親との間には,法律上の父子関係がないことが原則となります。

 

非嫡出子と父親との間に法律上の親子関係を発生させるには,「認知」という手続が必要となります(民法779条)。

父親が非嫡出子を認知しますと,出生の時にさかのぼって,両者は法律上の父子関係が発生します(民法784条)。

 

 

  • 非嫡出子の相続権及び法定相続分

民法887条1項によりますと,被相続人の子は相続人になると規定されています。

ここにいう「被相続人の子」は,被相続人と法律上の親子関係を有する者をいいますので,嫡出子か非嫡出子かは関係ありません。

すなわち,非嫡出子であっても,被相続人との間に法律上の親子関係があるのですから,相続権を有することとなります。

 

非嫡出子の相続権及び相続分については,つぎにように考えます。

 

①母親の相続

非嫡出子は,分娩によって,母親との間に法律上の親子関係が発生します。

 

よって,母親が亡くなり被相続人となった場合には,欠格事由,廃除,相続放棄等の場合を除き,非嫡出子は相続人となります。

 

②父親の相続

他方,非嫡出子と父親との間には,当然には法律上の親子関係が発生しません。

非嫡出子に父親の相続権を与えるためには,父親が非嫡出子を認知し,法律上の親子関係を発生させる必要があります。

認知は,戸籍法の規定にしたがって届出をする方法のほか(民法781条1項),遺言において認知する旨を記載する方法もあります(民法781条2項)。

 

③法定相続分

非嫡出子が相続人となる場合,法定相続分は嫡出子と同じです。

 

この点に関し,以前は,非嫡出子の法定相続分を嫡出子の2分の1とする規定があったのですが(民法旧900条4号ただし書),平成25年の最高裁大法廷決定により,その旧規定は憲法14条反し違憲であるとされました(最大決平成25年9月4日民集67巻6号1320頁)。

それを受けて民法旧900条4号ただし書前段は削除され,現在では非嫡出子の相続分は嫡出子と同等となっています。

 

 

  • 非嫡出子がいる場合に考えられる相続トラブル

 

非嫡出子がいる場合に考えられる相続トラブルとしては,つぎのようなことが想定されます。

非嫡出子は,嫡出子と共同生活をしていた時期がないことが多いことから,普段のコミュニケーションがとれていないことがあり得ます。

また,遺言による認知も認められていますので,そもそも嫡出子側で非嫡出子の存在自体を認識していないこともあり得ます。

あり得るケースとしては,非嫡出子を遺産分割協議に参加させないで協議をまとめてしまうことも考えられます。このようなケースでは,後々トラブルに発展してしまいますので,十分に調査する必要があります。

 

投稿者: 弁護士濵門俊也

男女別の離婚理由(令和2年度司法統計から)

2021.12.23更新

 こんにちは。東京都中央区日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。

 

 本日は,「男女別の離婚理由」について説明をします。

 「令和2年度の司法統計」によると,夫婦関係調整調停事件(離婚調停)の申立て理由のランキングは,男女別に次のとおりです。

 なお「不明」の結果は,除外しています。

 

【参考資料:家事 令和2年度 19 婚姻関係事件数 申立ての動機別申立人別 全家庭裁判所|司法統計】

 

  • 女性(妻)の離婚理由

1位 性格が合わない

2位 生活費を渡さない

3位 精神的に虐待する

4位 暴力を振るう

5位 異性関係

6位 その他

7位 浪費する

8位 家族を捨てて省みない

9位 性的不調和(性の不一致)

10位 家族親族と折り合いが悪い

 

  • 男性(夫)の離婚理由

1位 性格が合わない

2位 その他

3位 精神的に虐待する

4位 異性関係

5位 家族親族と折り合いが悪い

6位 浪費する

7位 性的不調和(性の不一致)

8位 暴力を振るう

9位 同居に応じない

10位 家庭を捨てて省みない

 

男女ともに,もっとも多かった理由は,「性格の不一致」でした。大恋愛の末折角家族になったわけですが,結局これが理由となるとは,何とも皮肉な話です。

 

つぎに多いのが,女性(妻)は,「生活費を渡さない」(後述する法律上の離婚原因の一つである「悪意の遺棄」(民法770条1項2号)になり得ます。)という金銭的問題,男性(夫)は「精神的な虐待」といった内面的な問題です。理由は異なりますが,ともに夫婦の関係性が色濃く出た結果となっています。

 

また,「性的不調和(性の不一致)」を男女ともにあげていますが,この問題は,夫婦間だけではなかなか解決することが難しい問題です。

 

ちなみに,民法770条1項は法律上の離婚原因をつぎのように規定しています。

① 配偶者に不貞な行為があったとき。

② 配偶者から悪意で遺棄されたとき。

③ 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。

④ 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。

⑤ その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

投稿者: 弁護士濵門俊也

特別養子縁組に関する民法等の改正

2020.02.18更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。

いよいよ約120年ぶりに改正された民法の施行が近づいてまいりました(施行期日は令和2年4月1日)。当職も10数年ぶりに択一受験六法(いろいろ吟味した結果,LECの『司法試験&予備試験 完全整理択一六法 民法』にしました。)を購入し,施行に備えております。
民法改正は債権法に注目が集まりがちですが,実は,令和2年4月1日施行の民法等に改正が施されている分野があります。それは,「特別養子縁組」です。
そこで,今回は,特別養子縁組に関する民法等の改正について解説します。

●改正の目的

児童養護施設に入所中の児童等に家庭的な養育環境を提供するため,特別養子縁組の成立要件を緩和すること等により,制度の利用を促進する点にあります。
厚生労働省検討会が,全国の児童相談所・民間の養子あっせん団体に対して実施した調査の結果,「要件が厳格」等の理由で特別養子縁組制度を利用できなかった事例は「298件(平成26年~平成27年)」もあったそうで,うち「実父母の同意」を理由とするものが「205件」,「上限年齢」を理由とするものが「46件」だったそうです。
そこで,見直しのポイントとしては,

① 特別養子制度の対象年齢を拡大すること
② 家庭裁判所の手続を合理化して養親候補者の負担軽減を図ること

が挙げられます。

●ポイント① 養子候補者の上限年齢の引上げ(民法の改正)

1 改正前(施行前の現行法)
養子候補者の上限年齢について,
原則 特別養子縁組の成立の審判の申立ての時に「6歳未満」であること
例外 6歳の達する前から養親候補者が引き続き養育 ⇒ 「8歳未満」まで可
としていました。
現行制度において上限年齢が原則6歳未満,例外8歳未満とされている理由は,
① 養子候補者が幼少のころから養育を開始した方が実質的な親子関係を形成しやすいから。
② 新たな制度(とはいうものの,採用されたのは昭和62年(1987年)改正・翌年施行ですから,果たして新たな制度といえるのか疑問です。)であるところ,まずは,必要性が明白な場合に限って導入すべきであるから。
という点にありました。
しかし,現行制度では,年長の児童について,特別養子縁組を利用できないとの児童福祉の現場等からの指摘を受けていました。

2 改正後
養子候補者の上限年齢の引上げ等を図っています。
⑴ 審判申立時における上限年齢(新民法第817条の5第1項前段・第2項)
原則 特別養子縁組の成立の審判の申立ての時に「15歳未満」であること
例外 ①15歳に達する前から養親候補者が引き続き監護されている場合において, 
      ②やむを得ない事由により15歳までに申立てできなかった場合には,
「15歳以上」でも可。
※ 15歳以上の者は自ら普通養子縁組をすることができることを考慮して15歳を基準としたものです。
⑵ 審判確定時における上限年齢(新民法第817条の5第1項後段)
審判確定時に18歳に達している者は,縁組不可。
⑶ 養子候補者の同意(新民法第817条の5第3項)
養子候補者が審判時に15歳に達している場合には,その者の同意が必要。
(15歳未満の者についても,その意思を十分に考慮しなければならない。)

●ポイント② 特別養子縁組の成立の手続の見直し(家事事件手続法及び児童福祉法の改正)

1 改正前
養親候補者の申立てによる1個の手続しか認められていませんでした。
すなわち,養親候補者が申し立て,特別養子縁組の成立の審判手続を経て,審判が下されるという手続のみに限られていました。
(審理対象)
・実親による養育が著しく困難又は不適当であること等(実親の養育能力(経済事情や若年等)や虐待の有無が審理されます。)
・実親の同意(審判確定まで撤回可能)
・養親子のマッチング(養親の養育能力や養親と養子の相性等が審理され,6か月以上の試験養育が必要となります。)

これに対しては,児童福祉の現場等から養親候補者の負担について以下のような指摘がありました。
指摘① 実親による養育状況に問題ありと認められるか分からないまま,試験養育をしなければならない。
指摘② 実親による同意の撤回に対する不安を抱きながら試験養育をしなければならない。
指摘③ 実親と対立して,実親による養育状況等を主張・立証しなければならない。

2 改正後
改正法の肝は「二段階手続の導入」にあります。
⑴ 二段階手続の導入(新家事事件手続法第164条・第164条の2関係)
特別養子縁組を以下の二段階の審判で成立させることとしました。
(ア) 実親による養育状況及び実親の同意の有無等を判断する審判(特別養子適格の確認の審判)
⇒ 審理対象は,「実親による養育状況」や「実親の同意の有無」等です。養親となる者が第1段階の審判を申し立てるときは,第2段階の審判と同時に申し立てなければなりません。2つの審判を同時にすることもでき,手続長期化の防止に努めています。
(イ) 養親子のマッチングを判断する審判(特別養子縁組の成立の審判)
⇒ 審理対象は「養親子のマッチング」です。養親候補者は,第1段階の審判による裁判所の判断が確定した後に試験養育をすることができます(上記指摘①及び同②に配慮)。
実親は,第2段階には関与しませんし,同意を撤回することもできません。
※ 6か月以上の試験養育をしますが,試験養育がうまくいかない場合には却下されます。
⑵ 同意の撤回制限(新家事事件手続法第164条の2第5項関係)
⇒ 実親が第1段階の手続の裁判所の期日等でした同意は,2週間経過後は撤回できません(上記指摘②に配慮)。
⑶ 児童相談所長の関与(新児童福祉法第33条の6の2・第33条の6の3)
⇒ 児童相談所長が第1段階の手続の申立人又は参加人として主張・立証をします(上記指摘③に配慮)。

●施行期日
令和2年4月1日施行

投稿者: 弁護士濵門俊也

最高裁判所,養育費「算定表」16年ぶり改定す

2020.01.06更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。

年末の12月23日。最高裁判所が改訂版の「養育費算定表」を予定通り公表しました。
女子力の非常に高い当職の後輩弁護士が,公表当日,早速『養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究』(司法研修所編・法曹会)を購入してきました。
養育費は,調停・審判の場ではもちろん,裁判所外の話合いの場でも算定表に基づいて金額を決めることが多いと思いますが,算定表の見直しは平成15年(2003年)以来,16年ぶりとなります。通信費用など生活費が増えていることや,社会情勢が変化していることが考慮されたとのことです。
早速当職も裁判所ホームページを閲覧し,算定表をダウンロードしてみましたが,総じていえば,若干金額が増えたといえますし,他方であまり変わっていないともいえ,実務上の混乱は避けられるのではないかと考えます。

算定表が想定しているパターンで,最も高額となるのが「義務者(年収2000万円)と権利者(専業主婦・専業主夫)、子ども3人(全員14歳以下)」の5人家族となります。このケースでは,44~46万円が下限となります。この点に関し,旧算定表では40~42万円のレンジでしたから,4万円の増額となっています。
ただ,ここまでの高年収層の数は多くはないでしょう。当職が担当する家庭でも相当珍しいと思います。そこで,もう少し現実的な世帯の場合,新基準によるとどうなるのかをみてみましょう。

・「義務者(年収600万円)と権利者(専業主婦・主夫),子ども2人(全員14歳以下)」:10~12万円
・「義務者(年収400万円)と権利者(年収400万円),子ども2人(全員14歳以下)」:2~4万円
・「義務者(年収700万円)と権利者(年収350万円),子ども2人(全員15歳以上)」:8~10万円

新しい算定表のURLを載せておきますので,参考にしてください。
URL:http://www.courts.go.jp/about/siryo/H30shihou_houkoku/index.html

結構問合せが多いのですが,新しい算定表が使われるのは、今後新たに養育費の金額を決める場合のみとなります。
いま現在,養育費が支払われている世帯ですが,今回の算定表は,「重大な事情の変更にあたりません」ので,算定表の基準が変わったことを理由として増額請求することはできません。もちろん,収入の増減や,再婚・新たな子の誕生などの事情があり,重大な事情変更があったことを理由として養育費の増額(減額)調停・審判を行う際には,新しい算定表が用いられます。

またこれも問合せが多いのが,成人年齢が引き下げられることとの関連性です。
一般的に,養育費の支払いを終える時期は「成年(成人年齢)に達する日の属する月まで」とされていることが多いです。
ご案内のとおり,すでに民法が改正されており、令和4年(2022年)4月から成人年齢は18歳に引き下げられます。引き下げ前に「成年に達する日の属する月まで」とされたものについては,今回の算定表では、引き下げに関係なく,基本的に20歳と解するのが相当とされました。

離婚するに当たっては,裁判所での調停・審判や公正証書で養育費の額をしっかりと決めることと強制執行できる紙を獲得することが重要です。
強制執行(差押えが中心となります。)できれば,義務者の給料から天引きされて,相手を介さずに会社から直接振り込まれるため,精神的な負担もありません。また,養育費には時効があります(5年・現行民法169条。改正法は短期消滅時効制度を廃止したので,やはり5年となります。)ので,「どうせ支払われないのではないか」などと諦めることなく,できるだけ早くに手を打ちましょう。
またこの点も重要ですが,算定表は,あくまで目安であって,その額に縛られるわけでもありません。当然ですが,状況に応じて増額したり,減額したりすることも可能です。

投稿者: 弁護士濵門俊也

最高裁,新たな「算定表」を発表(12月23日)

2019.11.18更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士・濵門俊也(はまかどとしや)です。

先日から,結構問い合わせのある件について説明します。
夫婦が離婚する際に取り決める養育費や,別居の際の生活費などの婚姻費用について,最高裁判所の司法研修所は,社会情勢の変化を踏まえて算定方法を見直し,令和元年(2019年)12月23日に公表すると発表しました。改定版では,税制や教育費,生活保護費の基礎となる「最低生活費」の変化が反映される見通しだそうです。
最高裁は昨年7月に見直しに着手していました。実務に与える影響の大きさを考慮し,事前に公表日を発表したそうです。

現在の算定方法に基づく養育費や婚姻費用については「低額でシングルマザーの貧困を招いている」などの批判がありましたが,新たな算定方法では夫婦の収入などによっては増額される可能性もあるとみられます。
養育費を決める際などには,裁判実務上,有志の裁判官らの研究会が平成15年(2003年)に法律雑誌に発表した簡易算定方式(いわゆる「算定表」)が使われています。「算定表」は,子どもの年齢や人数,支払う側(義務者)と受け取る側(権利者)の年収に応じた額を提示しており,素早い紛争解決につながるとして実務上広く定着しています。
ただ,この算定方式では,夫婦の総収入から税金や経費を差し引いた金額を「基礎収入」として養育費を算出します。すると,基礎収入は総収入の4割程度となるため,「養育費が低すぎる」といった指摘も出ていました。
一方,日本弁護士連合会は平成28年(2016年)11月,新たな算定方式を独自に発表しました。総収入から差し引く経費に住居費や保険料を含めないことにより,基礎収入が総収入の6,7割程度となり,算出された養育費が現行の約1・5倍となる内容でした。ただ,なかなか裁判実務上は現行の「算定表」にとって代わることができませんでした(数件ではありますが,新しい算定表を使った裁判例はあります。)。
司法研修所は昨年7月から算定方法の見直しに着手していました。東京,大阪両家裁の裁判官4人を研究員に選び,養育費などの算定に関する実証的な研究を行ってきました。
新たな算定方法では,近年の家庭の支出傾向を踏まえ,増額される場合もあるようですが,夫婦の収入などによっては現状と変わらないケースもあるとみられています。

投稿者: 弁護士濵門俊也

「憲法は,同性婚を否定していない」 同性内縁カップル巡る訴訟で画期的判決

2019.09.19更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士・濵門俊也(はまかど・としや)です。

昨日,注目すべき判決が下されました。

【以下,令和元年9月18日付け朝日新聞デジタルより引用】https://www.asahi.com/articles/ASM9L5FPSM9LUTIL04Z.html

 

 同性カップル間で不貞行為があった場合にも、異性間の内縁関係と同じ権利が認められるかが争われた訴訟で、宇都宮地裁真岡支部(中畑洋輔裁判官)は18日、「実態があれば、内縁関係に準じた法的保護が受けられる」との判断を示し、不貞行為をした相手に慰謝料など110万円の支払いを命じた。同性カップルにも内縁関係に準じた法的保護を認めた初の判決とみられる。

 米国で結婚して日本国内で同居していた同性カップルの30代女性が、「パートナーの不貞行為で破局した」として相手の女性らに約640万円の損害賠償を求めていた。
 判決は、婚姻が両性の合意のみに基づいて成立するとした憲法24条についても検討。「制定当時は同性婚を想定していなかったにすぎず、否定する趣旨とは言えない」と述べ、「24条は同性婚を想定していない」とする政府とは異なる解釈に踏み込んだ。
 婚姻届を出さずに暮らす男女の内縁関係については、1958年(筆者注:昭和33年)の最高裁判決が「婚姻に準ずる関係」と明示。不当に破棄された場合は損害賠償を求められるとしており、裁判ではこの判例が同性カップルにも適用できるかが争点となっていた。
判決は、社会の価値観や生活形態が多様化したことを挙げ、「婚姻を男女間に限る必然性があるとは断じがたい」と指摘。同性カップルを公的に認証する自治体が現れている社会情勢なども踏まえ、「同性カップルに一定の保護を与える必要性は高い」とした。

【以上,引用終わり】

別報道によりますと,被告ら代理人弁護士は控訴を検討するようですが,上記判決は実に画期的な判決であり,中畑裁判官の勇気と決断に敬意を表したいと思います。今後の議論に一石を投じることとなるのは必定でしょう。

投稿者: 弁護士濵門俊也

審判離婚とは何か?

2019.06.12更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。

ある著名なポータルサイトを閲覧していますと,「審判離婚が確定したのですが,再婚はいつからできるのでしょうか。離婚届はどちらが提出するのでしょうか。」という主旨の質問がありました。「審判離婚」で終結する案件はなかなかないので,お困りの様子でした。当職の皮膚感覚でも「審判離婚」はほぼないです(離婚自体を争っている案件が多いためです。)。
そこで,今回はあまりなじみのない「審判離婚」について解説したいと思います。

●審判離婚とは

裁判所における離婚手続は,まず家庭裁判所に対する調停申立てをし,これが不成立に終わった場合に離婚訴訟を提起するというのが原則的な流れです。審判手続に移行することは一般的にはありません。しかし,調停が成立しない場合であっても,離婚自体は合意しているが財産分与や子の監護方法等にわずかな相違があるにすぎない場合や婚姻関係が破綻していることが明らかなのにいたずらに調停に出頭しない場合など,あらためて離婚訴訟を提起させることが申立当事者にとっても社会経済上も無駄になることがあり得ます。
そのような場合に,家庭裁判所の判断で離婚の審判を下せる制度が「審判離婚」です。

【参照条文】
家事事件手続法
(調停に代わる審判の対象及び要件)
第284条  家庭裁判所は,調停が成立しない場合において相当と認めるときは,当事者双方のために衡平に考慮し,一切の事情を考慮して,職権で,事件の解決のため必要な審判(以下「調停に代わる審判」という。)をすることができる。ただし,第277条第1項に規定する事項についての家事調停の手続においては,この限りでない。
2  家事調停の手続が調停委員会で行われている場合において,調停に代わる審判をするときは,家庭裁判所は,その調停委員会を組織する家事調停委員の意見を聴かなければならない。
3  家庭裁判所は,調停に代わる審判において,当事者に対し,子の引渡し又は金銭の支払その他の財産上の給付その他の給付を命ずることができる。

●審判離婚ができる場合

では,どのような場合に審判離婚が認められるのでしょうか。まず,一般論として調停に代わる審判ができる要件を確認しておきます(家事事件手続法第284条)。
【調停に代わる審判を行う要件】
①調停成立に見込みがないこと
②家庭裁判所が相当と認めること
③委員会調停の場合は家事調停委員の意見を聴くこと
④当事者双方に対する衡平と一切の事情を考慮すること

具体的にはつぎのような場合にできるとされています。
①離婚の合意はできているが,病気などの理由で裁判所に出頭できない場合
②離婚の合意はできているが,親権や養育費,慰謝料などの条件面でわずかな意見の対立がある場合
③婚姻関係が破綻しているのに相手方がいたずらに調停期日に出頭しない場合
④当事者の一方が遠隔地にいるため出頭できないが,調査官が離婚意思について確認している場合
⑤渉外離婚等の事件で,調停期日において合意が成立している場合
⑥渉外離婚等の事件で,準拠法(外国法)が裁判離婚しか認めていない場合

注目するべき点は,お子さんの親権の争いで対立している場合でも審判離婚が利用できる点です。調停に代わる審判が,離婚・離縁事件と別表第二の事件が対象となるからです。
そうすると,たとえば,離婚調停で相手方が嫌がらせ目的などの感情だけで親権を譲らないといった場合には,審判離婚できる可能性があることとなります。

●審判離婚があまり活用されていない理由

もっとも,リード文でも述べたとおり,審判離婚はあまり活用されていないのが現状です。それは,以下の理由が考えられます。
【理由】
①そもそも当事者双方が離婚に同意していれば調停が不成立になるケースが少ないから。
②調停に代わる審判は,審判日から2週間以内に異議申立てがあると効力を失ってしまう(別表第二の事件の審判手続についても失効します。)ので(家事事件手続法286条,279条),異議申立てが予想される事案では,あえて調停に代わる審判を経ずに調停不成立とし,離婚訴訟に誘導・移行させることが多いから。

●審判離婚の効力

さて,審判離婚で離婚の審判が下された場合ですが,その効力は裁判での判決と同等の効力をもちます。
しかし,審判が下されどうしても納得できない場合には審判日から2週間以内に裁判所に対して異議申立てを行うことができます。
その際には理由などの記載は不要なので,不服がある場合には異議申立てを行い審判結果を争うこととなります。
【参照条文】
家事事件手続法
(異議の申立て等)
第286条 当事者は,調停に代わる審判に対し,家庭裁判所に異議を申し立てることができる。
4 異議の申立人は,前項の規定により異議の申立てを却下する審判に対し,即時抗告をすることができる。
5 適法な異議の申立てがあったときは,調停に代わる審判は,その効力を失う。この場合においては,家庭裁判所は,当事者に対し,その旨を通知しなければならない。

●審判確定後の手続

審判後2週間が経過すると異議申立てがないものとされ審判が確定します。
それから10日以内に市区町村の役場に「審判書の謄本」「審判確定証明書」「離婚届」を提出することで離婚が成立することになります。離婚届は審判離婚の申立人が役所に提出します。
なお,期限の10日を経過した後は相手方でも提出できるようになります。いつから再婚できるかですが,女性の場合,再婚禁止期間(待婚期間)が100日となっておりますので,それを経過すればよいということとなります。
【参照条文】
民法
(再婚禁止期間)
第733条
女は、前婚の解消又は取消しの日から起算して100日を経過した後でなければ、再婚をすることができない。
2 前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。
一 女が前婚の解消又は取消しの時に懐胎していなかった場合
二 女が前婚の解消又は取消しの後に出産した場合

投稿者: 弁護士濵門俊也

特段の事情がない限り,不貞行為の相手方に対し離婚に伴う慰謝料を請求することはできない

2019.02.19更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。

本日,最高裁判所第3小法廷(宮崎裕子裁判長)で注目の判決が下されました。
離婚時の精神的苦痛に対する慰謝料を,別れた配偶者の過去の不貞行為の相手方に請求できるかという点が争点となった事件です。

配偶者の不貞行為の相手方に対しては,離婚が成立したかどうかにかかわらず不貞行為の慰謝料を請求できることとされています。しかし,離婚に対する慰謝料を請求できるかについては,実は最高裁の判例がなく,初判断が示される可能性があるとして注目されていました。

結論から申し上げますと,最高裁は,特段の事情がない限り,不貞行為の相手方に対し離婚に伴う慰謝料を請求することはできないと判断しました。

 

●事案の概要と上告までの流れ

原告は関東地方に住む男性です。平成27年に妻と離婚し,その4年前まで妻と不貞交際関係にあった妻の元同僚を相手取り「不貞行為が原因で離婚した」として計約500万円の支払いを求めて提訴した事案です。ちなみに,妻には慰謝料を請求していません。

本件の事案の特殊性としては,原告の男性が元妻の不貞行為を知ってから3年以上経過していたことが挙げられます。民法724条前段は,不法行為に基づく損害賠償請求権は「損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは,時効によって消滅する」と規定しています。このため,訴えられた元不貞行為の相手方側は「時効により請求権が消滅している」と反論しました。

ところが,第一,第二審は,原告の男性の訴えを認め,元不貞行為の相手方側に約200万円の支払いを命じました。第一審判決は「不貞行為の発覚をきっかけに婚姻関係は悪化し,離婚に至った」と認定。離婚慰謝料について,消滅時効の起算点は「離婚の成立時」であるとする最高裁判例(最二小昭和46年7月23日民集25巻5号805頁)を引用し,「不貞行為により離婚を余儀なくされて精神的苦痛を被ったと主張する場合,損害は離婚成立時に初めて分かる」と判示し,慰謝料の支払いを命じたのです。

判決ははっきりとは述べていませんが,「不貞慰謝料」ではなく,「離婚慰謝料」として元不貞行為の相手方に支払いを命じたわけです。平成27年の離婚から3年以内の提訴でしたので,この枠組みであれば消滅時効にはかからないわけです。この判断第二審・東京高裁も支持しました。

この判決を元不貞行為の相手方側は不服とし,最高裁に上告したのです。

本件では,第二審の結論を変更する際に必要な弁論が開かれたことから,元不貞行為の相手方に賠償を命じた原判決が変更される可能性があるとして注目されていました。

●最高裁は,特段の事情がない限り,離婚に伴う慰謝料を請求することはできないと判断

【最高裁判決の理由,以下引用始め】

夫婦の一方は,他方に対し,その有責行為により離婚をやむなくされ精神的苦痛を被ったことを理由としてその損害の賠償を求めることができるところ,本件は,夫婦間ではなく,夫婦の一方が,他方と不貞関係にあった第三者に対して,離婚に伴う慰謝料を請求するものである。
夫婦が離婚するに至るまでの経緯は当該夫婦の諸事情に応じて一様ではないが,協議上の離婚と裁判上の離婚のいずれであっても,離婚による婚姻の解消は,本来,当該夫婦の間で決められるべき事柄である。
したがって,夫婦の一方と不貞行為に及んだ第三者は,これにより当該夫婦の婚姻関係が破綻して離婚するに至ったとしても,当該夫婦の他方に対し,不貞行為を理由とする不法行為責任を負うべき場合があることはともかくとして,直ちに,当該夫婦を離婚させたことを理由とする不法行為責任を負うことはないと解される。
第三者がそのことを理由とする不法行為責任を負うのは,当該第三者が,単に夫婦の一方との間で不貞行為に及ぶにとどまらず,当該夫婦を離婚させることを意図してその婚姻関係に対する不当な干渉をするなどして当該夫婦を離婚のやむなきに至らしめたものと評価すべき特段の事情があるときに限られるというべきである。
以上によれば,夫婦の一方は,他方と不貞行為に及んだ第三者に対して,上記特段の事情がない限り,離婚に伴う慰謝料を請求することはできないものと解するのが相当である。

【最高裁判決の理由,以上引用終わり】

当職は,あくまでも離婚に伴う慰謝料請求という性質上,本件の第一,第二審の判断については,違和感しかありませんでした。ですので,法解釈上は最高裁の判断を相当であると考えます。事案の詳細については分かりかねますが,何かしら特殊な事実関係があったのかもしれません。

投稿者: 弁護士濵門俊也

民法第774条は合憲―大阪高判平成30年8月30日

2018.08.31更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。

昨日,当職が注目していた事件の判決が下されました。
それは,生まれた子どもの父親であることを法的に否定する「嫡出否認」の訴えを起こす権利を,夫のみに認めた民法第774条の規定は男女同権を定めた憲法に反するとして,神戸市の60代女性らが国に計220万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決です。
大阪高裁(江口とし子裁判長)は平成30年8月30日,上記規定は違憲ではないと判断し,一審に続き請求を退けました。

争点は民法第774条の違憲性や,法改正しない国に裁量権の逸脱があるか否かという点です。

昨年11月の第一審・神戸地裁判決は「規定は嫡出否認の要件を厳格に制限し,婚姻中の夫婦に生まれた子の身分を早期に安定させる目的で合理性がある」と指摘していました。また,現行制度を合理的と是認した平成26年の最高裁判決も踏まえ,憲法違反には当たらないと判断し,請求を棄却しました。大阪高裁は判決理由において,嫡出否認の訴えを夫にだけ認めているのは「夫は父子関係の当事者で,子の扶養義務を負うなどの法的な権利義務の関係が生じる」からであり,妻は妊娠の時期や相手を選んで生物学上の父子関係を管理できるのに対し,夫はそれができないと指摘し,規定には合理性があり,違憲ではないとしたのです。
また,妻や子にも訴えを認めるかどうかは「社会状況を踏まえた国会の立法裁量に委ねられる」とし,裁量権の逸脱はないとしました。

原告は60代女性のほか,30代の娘と8歳及び4歳の孫2名の計4名です。
原告の60代女性は昭和57年,当時の夫の暴力を理由に別居。その後,夫との離婚が成立する前に別の男性との間に娘が生まれ,男性を父とする出生届を提出しました。しかし,「妻が婚姻中に懐胎した子は,夫の子と推定する」との民法第772条第1項の「嫡出推定」の規定を理由に,男性との間の子だとする出生届は受理されず,民法上は夫しか嫡出否認の訴えを提起できませんので,娘は無戸籍となりました。さらに娘が産んだ孫2人も無戸籍となったのです。娘は法的に結婚できず,孫には就学通知や健康診断の案内が届かなかったそうです。
原告側は「妻や子も訴えを起こせるよう法改正されれば無戸籍は避けられた」と主張しています。ちなみに,3人の無戸籍は夫の死後,認知調停などを経て平成28年に解消されています。

あらためて,民法772条は,妻が婚姻中に懐胎した子は夫の子と推定すると規定しています(第1項)。さらに婚姻の成立の日から200日経過後や,婚姻の解消・取消しの日から300日以内に生まれた子も,婚姻中に懐胎したものと推定します(第2項)。
この推定を覆す「嫡出否認」を訴える権利(否認権)は夫にのみ認められ,妻や子には許されていません(民法第774条)。その立法趣旨は,出産の外形的事実から確定できる母子関係と異なり,「父子関係の証明は難しいため」,嫡出推定は子の利益のため法律上の父を明確化し,親子関係を安定させる点にあるとされています。
上記立法趣旨自体は明白に不合理とはいえませんので,法を解釈・適用し,紛争を解決する裁判所としては,なかなか違憲判決を下すことは難しいと思います。しかし,「それでも」と言い続けなければなりません。
当職の個人的意見としては,否認権者の範囲を夫のみに限らず,少なくとも妻,子には認めるべきだと思います。さらに,生物学的な父にも拡大すべきであると考えています。「父子関係の証明は難しい」といいますが,現在のDNA型鑑定の精度からすれば,99.999……%の確率で生物学上の父であることが判明するからです。司法で解決できない問題である以上,立法で解決するほかありません。

投稿者: 弁護士濵門俊也