弁護士ブログ

甲子園球場ライブ『安全地帯 IN 甲子園球場 “さよならゲーム”』

2019.11.18更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士・濵門俊也(はまかどとしや)です。

去る11月16日,初の甲子園球場ライブ『安全地帯 IN 甲子園球場 “さよならゲーム”』に行ってきました(高校球児の聖地・甲子園球場にテンションも上がりました。)。
1985年8月の横浜スタジアム公演(DVDで何度も視ました。)以来34年ぶりのスタジアムライブで3万8000人を動員したそうです(この3万8000分の1になれたことを光栄に思います。)。
脳内出血によるリハビリ中のドラムス・田中裕二さんはいませんでしたが(もちろん,魂はドラムスティックに投影されていました。),アンコールを含む全22曲(SEのEndlessを含めると24曲),2時間のステージを満喫しました。

開催時間はおして15時20分すぎにスタート。オープニングアクトは「We’re Alive」。ライブの鉄板曲です。“見渡す限りの甲子園球場に”とお約束の歌詞を替えて歌ってくれました。その後「情熱」「銀色のピストル」と続き,「1991年からの警告」へ(最近「1991年の警告」を歌われるライブが多い気がしますが気のせいでしょうか。)。甲子園球場の熱気が高まっていきました。「熱視線」では,曲に合わせてステージ前方から火柱が上がる演出もありました。

前半のクライマックスは「恋の予感」「碧い瞳のエリス」「Friend」の怒涛の三連打。前半戦でほぼ勝利は確定です。

ワタユタケさんと六土さんによるインストゥルメンタル「夕暮れ」を挟み,衣装替えした玉置さんが再登場しての後半戦は,「夢のつづき」から(「夢のつづき」を最近歌ってくださるのが嬉しいです。)。ようやく日が暮れて,いい感じのシチュエーションとも絶妙にシンクロしての「あなたに」。お待ちかねの「ワインレッドの心」,「蒼いバラ」と畳み掛けます(今回の「蒼いバラ」はぐっと来ましたね。)。
「真夜中すぎの恋」では,ダンサブルなビートと激しいスクラッチで最高潮へ(「真夜中すぎの恋」は2010ver.で大きく変貌を遂げました。実にいい。)。曲間では玉置さんがギターを抱えたままステージから降りて,阪神甲子園球場の外野センターからライト,一塁側,ホームベース,三塁側,レフトと広大なグランドの外周を走り抜けるというサプライズが。場内はさらに熱狂し,ロングランニングを終えた玉置さんがステージ上に戻ってくると,「じれったい」へと突入。甲子園球場を怒涛のピークタイムへと誘いました。

本編のクライマックスは,ドラムスの田中さんの代役を務めたホセ・コロンさんを含むメンバー全員の紹介を挟んで,「悲しみにさよなら」へ。すっかり日が暮れてきた中で奏でられたラストの「ひとりぼっちのエール」では,曲の後半に観衆が携帯電話の画面をライト代わりに掲げました。期せずして,甲子園全体が光の渦に覆われていくようなフィナーレを演出することとなりました。

そして,アンコール前にはステージ上のスクリーンに入場時に配られていたジェット風船を膨らませてご準備くださいという指示が映され,場内が白いジェット風船で鮮やかに埋め尽くされると,「I Love Youからはじめよう」が始まるとともに一斉に風船が宙に舞い,甲子園ならではの演出で再び盛り上がりをみせ,後半にはカラフルな花吹雪も舞っての大団円へ。
続くアンコール2曲目の「あの頃へ」では,スクリーンにメンバーの出身地である北海道を連想させる雪山の映像が映され,エンディングはステージ上に白い雪が美しく舞い始め,SEの「Endless」が流れます。
“さよならゲーム”の名にふさわしい劇的で大興奮のライブでした。日曜は東京で私を待っている人らがいたので,大阪には滞在せず,帰京しました。

投稿者: 弁護士濵門俊也

最高裁,新たな「算定表」を発表(12月23日)

2019.11.18更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士・濵門俊也(はまかどとしや)です。

先日から,結構問い合わせのある件について説明します。
夫婦が離婚する際に取り決める養育費や,別居の際の生活費などの婚姻費用について,最高裁判所の司法研修所は,社会情勢の変化を踏まえて算定方法を見直し,令和元年(2019年)12月23日に公表すると発表しました。改定版では,税制や教育費,生活保護費の基礎となる「最低生活費」の変化が反映される見通しだそうです。
最高裁は昨年7月に見直しに着手していました。実務に与える影響の大きさを考慮し,事前に公表日を発表したそうです。

現在の算定方法に基づく養育費や婚姻費用については「低額でシングルマザーの貧困を招いている」などの批判がありましたが,新たな算定方法では夫婦の収入などによっては増額される可能性もあるとみられます。
養育費を決める際などには,裁判実務上,有志の裁判官らの研究会が平成15年(2003年)に法律雑誌に発表した簡易算定方式(いわゆる「算定表」)が使われています。「算定表」は,子どもの年齢や人数,支払う側(義務者)と受け取る側(権利者)の年収に応じた額を提示しており,素早い紛争解決につながるとして実務上広く定着しています。
ただ,この算定方式では,夫婦の総収入から税金や経費を差し引いた金額を「基礎収入」として養育費を算出します。すると,基礎収入は総収入の4割程度となるため,「養育費が低すぎる」といった指摘も出ていました。
一方,日本弁護士連合会は平成28年(2016年)11月,新たな算定方式を独自に発表しました。総収入から差し引く経費に住居費や保険料を含めないことにより,基礎収入が総収入の6,7割程度となり,算出された養育費が現行の約1・5倍となる内容でした。ただ,なかなか裁判実務上は現行の「算定表」にとって代わることができませんでした(数件ではありますが,新しい算定表を使った裁判例はあります。)。
司法研修所は昨年7月から算定方法の見直しに着手していました。東京,大阪両家裁の裁判官4人を研究員に選び,養育費などの算定に関する実証的な研究を行ってきました。
新たな算定方法では,近年の家庭の支出傾向を踏まえ,増額される場合もあるようですが,夫婦の収入などによっては現状と変わらないケースもあるとみられています。

投稿者: 弁護士濵門俊也

「憲法は,同性婚を否定していない」 同性内縁カップル巡る訴訟で画期的判決

2019.09.19更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士・濵門俊也(はまかど・としや)です。

昨日,注目すべき判決が下されました。

【以下,令和元年9月18日付け朝日新聞デジタルより引用】https://www.asahi.com/articles/ASM9L5FPSM9LUTIL04Z.html

 

 同性カップル間で不貞行為があった場合にも、異性間の内縁関係と同じ権利が認められるかが争われた訴訟で、宇都宮地裁真岡支部(中畑洋輔裁判官)は18日、「実態があれば、内縁関係に準じた法的保護が受けられる」との判断を示し、不貞行為をした相手に慰謝料など110万円の支払いを命じた。同性カップルにも内縁関係に準じた法的保護を認めた初の判決とみられる。

 米国で結婚して日本国内で同居していた同性カップルの30代女性が、「パートナーの不貞行為で破局した」として相手の女性らに約640万円の損害賠償を求めていた。
 判決は、婚姻が両性の合意のみに基づいて成立するとした憲法24条についても検討。「制定当時は同性婚を想定していなかったにすぎず、否定する趣旨とは言えない」と述べ、「24条は同性婚を想定していない」とする政府とは異なる解釈に踏み込んだ。
 婚姻届を出さずに暮らす男女の内縁関係については、1958年(筆者注:昭和33年)の最高裁判決が「婚姻に準ずる関係」と明示。不当に破棄された場合は損害賠償を求められるとしており、裁判ではこの判例が同性カップルにも適用できるかが争点となっていた。
判決は、社会の価値観や生活形態が多様化したことを挙げ、「婚姻を男女間に限る必然性があるとは断じがたい」と指摘。同性カップルを公的に認証する自治体が現れている社会情勢なども踏まえ、「同性カップルに一定の保護を与える必要性は高い」とした。

【以上,引用終わり】

別報道によりますと,被告ら代理人弁護士は控訴を検討するようですが,上記判決は実に画期的な判決であり,中畑裁判官の勇気と決断に敬意を表したいと思います。今後の議論に一石を投じることとなるのは必定でしょう。

投稿者: 弁護士濵門俊也

私戦予備・陰謀罪の解説

2019.07.03更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。

ニュース報道によりますと,過激派組織「イスラム国」(IS)の戦闘員になるため,シリアへの渡航準備をしたなどとして,警視庁公安部は3日,私戦予備罪の被疑事実で,当時北海道大生であった男性(31歳)とイスラム法学者の元同志社大学教授(58歳)ら5人を書類送検したそうです。公安部は起訴を求める厳重処分の意見を付けたそうです。刑法の施行以降,同被疑事実の適用は初めてです。
他に書類送検されたのは,元北大生と同様に戦闘に参加しようとした千葉県在住の20代男性や,支援したジャーナリスト(50歳),30代の男性です。
公安部などによりますと,一部は「ISに加わり,戦闘員として働こうとしていた」と被疑事実を認めているようです。元教授とジャーナリストらはIS側と連絡を取って支援を依頼したり,航空券を購入したりしていたといいます。
送検被疑事実は平成26年(2014年)8月ころ,ISの戦闘活動に参加する目的でシリアへの渡航を企てたというものです。
「私戦予備罪」「刑法施行初の適用」とは,注目せざるを得ません。今回は,私戦予備・陰謀罪について解説します。

●保護法益(本質)

私戦予備・陰謀罪は国交に関する罪の一つです。その保護法益(本質)については,①正常な外交関係を危うくし,ひいては国家の対外的安全を害する罪と解されてきました。これに対し,戦後の多数説は,②国際法上の義務に基づいて外国の法益を保護する罪と解しています。しかし,日本の刑法が外国の法益を保護するのは不自然であるとして,③日本の外交上の利益であるとする見解が近時有力となっているようです。

●条文

刑法第93条 外国に対して私的に戦闘行為をする目的で,その予備又は陰謀をした者は,3月以上5年以下の禁錮に処する。ただし,自首した者は,その刑を免除する。

●構成要件

本罪は目的犯です。
「外国」とは,外国の一地方や特定の外国人の集団ではなく,国家としての外国です。よって,外国において外国人を殺傷したり,略奪行為を行う場合は含まれません。
「私的な戦闘行為」とは,わが国の意思によらない組織的な武力行為(武力による攻撃・防御)をいいます。ご承知のとおり,日本国憲法第9条1項は,国権の発動としての戦争と武力による威嚇又は武力の行使を禁じています。
「予備」とは,兵器の調達や兵士の訓練等,外国との戦闘の準備行為一般を指します。
「陰謀」とは,私戦の実行を目指して複数の者が犯罪意思をもって謀議することです。
本罪は,予備・陰謀を処罰するのみであり,私的な戦闘行為自体は処罰されていません。それは,殺人罪(刑法199条)や放火罪(刑法108条以下)等によって処罰されることとなります。
本罪では,私戦を未然に防ぐという政策的理由から,自首による刑の免除が認められています(刑法93条ただし書)。通常の自首(刑法42条1項,刑の任意的減軽)の特別規定です。

●コメント

私戦予備・陰謀罪の法定刑は「3月以上5年以下」ですから,公訴時効は5年です(刑事訴訟法250条2項5号)。公訴時効にかかる前に何とか書類送検したということがいえます。今回,公安部は起訴を求める厳重処分の意見を付けたそうですが,上記にみたとおり,「外国に対して」の構成要件を満たすかどうかが問題となりそうです。果たして初の起訴となるか注目です。

【参考文献】
前田雅英著『刑法各論講義』(東京大学出版会)
大塚裕史・十河太朗・塩谷毅・豊田兼彦著『基本刑法Ⅱ』(日本評論社)

 

投稿者: 弁護士濵門俊也

『なつぞら』の千遥の「遥」は当時使用できたのか?!

2019.07.02更新

連日絶賛放送中の女優の広瀬すずさんが主演するNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「なつぞら」。今週(7月1日~6日)放送分から,広瀬さん扮するヒロイン・なつの生き別れた妹・千遥(ちはる)役で清原果耶さんが登場しています(清原さんはいい女優さんですね。雰囲気があります。今後の活躍に期待します。)。

千遥の「遥」の漢字ですが,何気なく見ている方もいるのではないでしょうか。たしかに,現在は「遥」は人名用漢字ですから何ら違和感はありません。ただ,昨年亡くなった私の妻(昭和46年3月生まれ)は,両親が命名する際,「遥」の漢字を使いたかったけれど,使えなかったという話を聴いておりましたので,興味をもちました。
そこで,今回は人名用漢字「遥」について解説します。

まず,「千遥」の名づけが戦前・戦中可能であったかという点ですが,「可能であった」というのがその答えです。なぜなら,昭和17年6月17日に国語審議会が答申した標準漢字表には,旧字の「遙」が収録されていたからです(標準漢字表はインターネットでも閲覧できます。)。そういえば,「坪内逍遥」という文学者もいましたよね。

つぎに,昭和46年3月生まれの妻に「遥」の漢字が使えなかった理由ですが,昭和21年11月16日に内閣告示された当用漢字表には,「遙」も「遥」も収録されていなかったことに由来します。その後,戸籍法が昭和23年1月1日に改正された結果,旧字の「遙」も,新字の「遥」も,子どもの名づけに使えなくなってしまったのです。
「遥」の漢字が人名用漢字に追加されたのは,1981年(昭和56年)10月1日のことです。

そして,2004年(平成16年)9月27日,戸籍法施行規則は改正され,旧字の「遙」も人名用漢字になりました。これは,「遥」の使用が認められたのちも,旧字の「遙」を出生届に書く親があとを絶たなかったからのようです。

『なつぞら』の今後の展開も気になりますが,時代考証もしっかりしていたことを感じました。

投稿者: 弁護士濵門俊也

審判離婚とは何か?

2019.06.12更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。

ある著名なポータルサイトを閲覧していますと,「審判離婚が確定したのですが,再婚はいつからできるのでしょうか。離婚届はどちらが提出するのでしょうか。」という主旨の質問がありました。「審判離婚」で終結する案件はなかなかないので,お困りの様子でした。当職の皮膚感覚でも「審判離婚」はほぼないです(離婚自体を争っている案件が多いためです。)。
そこで,今回はあまりなじみのない「審判離婚」について解説したいと思います。

●審判離婚とは

裁判所における離婚手続は,まず家庭裁判所に対する調停申立てをし,これが不成立に終わった場合に離婚訴訟を提起するというのが原則的な流れです。審判手続に移行することは一般的にはありません。しかし,調停が成立しない場合であっても,離婚自体は合意しているが財産分与や子の監護方法等にわずかな相違があるにすぎない場合や婚姻関係が破綻していることが明らかなのにいたずらに調停に出頭しない場合など,あらためて離婚訴訟を提起させることが申立当事者にとっても社会経済上も無駄になることがあり得ます。
そのような場合に,家庭裁判所の判断で離婚の審判を下せる制度が「審判離婚」です。

【参照条文】
家事事件手続法
(調停に代わる審判の対象及び要件)
第284条  家庭裁判所は,調停が成立しない場合において相当と認めるときは,当事者双方のために衡平に考慮し,一切の事情を考慮して,職権で,事件の解決のため必要な審判(以下「調停に代わる審判」という。)をすることができる。ただし,第277条第1項に規定する事項についての家事調停の手続においては,この限りでない。
2  家事調停の手続が調停委員会で行われている場合において,調停に代わる審判をするときは,家庭裁判所は,その調停委員会を組織する家事調停委員の意見を聴かなければならない。
3  家庭裁判所は,調停に代わる審判において,当事者に対し,子の引渡し又は金銭の支払その他の財産上の給付その他の給付を命ずることができる。

●審判離婚ができる場合

では,どのような場合に審判離婚が認められるのでしょうか。まず,一般論として調停に代わる審判ができる要件を確認しておきます(家事事件手続法第284条)。
【調停に代わる審判を行う要件】
①調停成立に見込みがないこと
②家庭裁判所が相当と認めること
③委員会調停の場合は家事調停委員の意見を聴くこと
④当事者双方に対する衡平と一切の事情を考慮すること

具体的にはつぎのような場合にできるとされています。
①離婚の合意はできているが,病気などの理由で裁判所に出頭できない場合
②離婚の合意はできているが,親権や養育費,慰謝料などの条件面でわずかな意見の対立がある場合
③婚姻関係が破綻しているのに相手方がいたずらに調停期日に出頭しない場合
④当事者の一方が遠隔地にいるため出頭できないが,調査官が離婚意思について確認している場合
⑤渉外離婚等の事件で,調停期日において合意が成立している場合
⑥渉外離婚等の事件で,準拠法(外国法)が裁判離婚しか認めていない場合

注目するべき点は,お子さんの親権の争いで対立している場合でも審判離婚が利用できる点です。調停に代わる審判が,離婚・離縁事件と別表第二の事件が対象となるからです。
そうすると,たとえば,離婚調停で相手方が嫌がらせ目的などの感情だけで親権を譲らないといった場合には,審判離婚できる可能性があることとなります。

●審判離婚があまり活用されていない理由

もっとも,リード文でも述べたとおり,審判離婚はあまり活用されていないのが現状です。それは,以下の理由が考えられます。
【理由】
①そもそも当事者双方が離婚に同意していれば調停が不成立になるケースが少ないから。
②調停に代わる審判は,審判日から2週間以内に異議申立てがあると効力を失ってしまう(別表第二の事件の審判手続についても失効します。)ので(家事事件手続法286条,279条),異議申立てが予想される事案では,あえて調停に代わる審判を経ずに調停不成立とし,離婚訴訟に誘導・移行させることが多いから。

●審判離婚の効力

さて,審判離婚で離婚の審判が下された場合ですが,その効力は裁判での判決と同等の効力をもちます。
しかし,審判が下されどうしても納得できない場合には審判日から2週間以内に裁判所に対して異議申立てを行うことができます。
その際には理由などの記載は不要なので,不服がある場合には異議申立てを行い審判結果を争うこととなります。
【参照条文】
家事事件手続法
(異議の申立て等)
第286条 当事者は,調停に代わる審判に対し,家庭裁判所に異議を申し立てることができる。
4 異議の申立人は,前項の規定により異議の申立てを却下する審判に対し,即時抗告をすることができる。
5 適法な異議の申立てがあったときは,調停に代わる審判は,その効力を失う。この場合においては,家庭裁判所は,当事者に対し,その旨を通知しなければならない。

●審判確定後の手続

審判後2週間が経過すると異議申立てがないものとされ審判が確定します。
それから10日以内に市区町村の役場に「審判書の謄本」「審判確定証明書」「離婚届」を提出することで離婚が成立することになります。離婚届は審判離婚の申立人が役所に提出します。
なお,期限の10日を経過した後は相手方でも提出できるようになります。いつから再婚できるかですが,女性の場合,再婚禁止期間(待婚期間)が100日となっておりますので,それを経過すればよいということとなります。
【参照条文】
民法
(再婚禁止期間)
第733条
女は、前婚の解消又は取消しの日から起算して100日を経過した後でなければ、再婚をすることができない。
2 前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。
一 女が前婚の解消又は取消しの時に懐胎していなかった場合
二 女が前婚の解消又は取消しの後に出産した場合

投稿者: 弁護士濵門俊也

大麻取締法違反の罪――「所持」のみ処罰され,「使用」が処罰されない理由

2019.05.23更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。

昨日,元アイドルグループのメンバーと女優の二人(内縁関係にあるとされています。)が大麻取締法違反の罪で逮捕されたというニュース報道がありました。大麻取締法違反といいますが,具体的な実行行為は「所持」です。ちなみに報道では当該大麻が「二人の物」か「一人の物」がで共犯者供述が食い違っているとされています。しかし,「所持」罪について所有の意思,所有権の有無は問われません(覚せい剤の所持について,東京高判昭和50年4月28日高検速報2100参照)。

皆さんもご存じかもしれませんが,大麻の使用は,一般には処罰の対象とはされていません。大麻取扱者が所持の目的以外の目的に大麻を使用した場合に処罰されるだけです(大麻取締法3条2項,同法24条の3)。この場合の法定刑は,5年以下の懲役,営利の場合,7年以下の懲役又は情状により7年以下の懲役及び200万円以下の罰金です(未遂罪も処罰されます。)。

そもそも,大麻取締法は,大麻草全体を規制対象にはしていません。大麻取締法が規制対象としている大麻とは,大麻草(カンナビス・サティバ・エル…学名)及びその製品をいい,大麻草の成熟した茎及びその製品(樹脂を除く),大麻草の種子及びその製品は除かれます(大麻取締法1条)。すなわち,大麻草の成熟した茎や種子を持っていたとしても「所持」には当たらないのです。

そうしますと,その理由が気になりますよね。そこで今回は,大麻取締法違反が大麻草の成熟した茎や種子を持っていることを「所持」として処罰していない理由や「使用」を処罰していない理由を解説します。

●大麻草の成熟した茎や種子を持っていても「所持」にならない理由:大麻草全体に有害な物質が含まれているわけではないから

理由ですが,「大麻草全体に有害な物質が含まれているというわけではないから」です。大麻は,その成分中のテトラヒドロカンナノビールが中枢神経に作用し,著しい向精神作用を示すのです。このテトラヒドロカンナノビールという成分が,大麻特有の妄想,幻覚,恐怖状態,錯乱状態などを引き起こし,有害性があるとされるのです。また,テトラヒドロカンナノビールは,大麻草の樹液に多く含まれ,大麻草の花や葉っぱにはこの樹液が多く含まれているのに対し,成熟した茎や種子にはテトラヒドロカンナノビール成分はほとんど含まれていないのです。
日本在来種の麻も大麻なのですが,日本では伝統的に茎の部分は麻織物や麻縄に利用され,種子の部分は七味唐辛子に使用されるなどして日常生活に深く染み込んでいます。こうしたことから「成熟した茎や種子の部分は有害性がほとんどない」として規制対象から外されたのです。

●大麻の「使用」を処罰していない理由:罪刑法定主義の要請

「有害性がほとんどない」といいましたが,これは成熟した茎や種子にまったくテトラヒドロカンナノビールが含まれていないというわけではなく,微量なテトラヒドロカンナノビールが含まれていることがあることを意味します。そのため,この茎や種子が体内に入った場合に,尿検査で微量な大麻成分(テトラヒドロカンナノビール)が検出されることが絶対にないとはいえないわけです。
そしてもっと重要なことは,尿として排出された大麻成分が,大麻の茎の部分であったのか,種子の部分であったのか,それとも樹脂(樹液が固まったもの)や花の部分や草の部分であったのか,特定できないことです。すなわち,尿検査で大麻の陽性反応が出たからといって,それが規制対象である大麻の花や葉っぱ,あるいは大麻樹脂といわれるものをその人が摂取したとは必ずしも言えなくなるわけです。
そこで,覚せい剤とは異なり,大麻について,使用罪は処罰範囲から除外されたのです。決して有害性がほとんどないから大目に見て処罰していないわけではありません。刑法の大原則である罪刑法定主義の要請から処罰範囲を限定化・明確化すべく不処罰とされているのです。

【参考文献】 シリーズ捜査実務全書8・藤永幸治編集代表『薬物犯罪』(第2版・東京法令出版)

投稿者: 弁護士濵門俊也

ありがとう!ゆで先生ーー『キン肉マン』第283話&第284話

2019.05.20更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。

 

現在『週プレNEWS』Webコミック配信で絶賛連載中のゆでたまご先生の漫画『キン肉マン』ですが,本日5月20日に発売された週刊プレイボーイ(集英社)2019年6月3日号では,『キン肉マン』の40周年を記念した特集が50ページにわたって展開されています。

 

表紙にはキン肉マンとキン肉マンソルジャー(もちろん「アタル兄さん」のほうです。「真ソル」こと「ソルジャーマン」ではありません。ソルジャーマンのコミュニケーション能力が非常に優れていることは,「ギ…ゲ…ゴ…」の台詞でファンにはよく知られています。「ギ…ゲ…ゴ…」であれだけの情報をテリーマンに伝えたわけですから,凄い能力です。)が登場。誌面には連載中の『キン肉マン』第284話が先行掲載されており,本日Webで公開された第283話の続きを読むことができます。
毎週月曜日の配信を週初めの密かな楽しみにしている私にとって,今日は「肉祭」となりました。週刊プレイボーイならば「女房を質に入れ」なくても買えますので,第283話を読み終わった後,事務所近くの書店に走りました。

 

ネタバレしないように感想を述べたいと思いますが,アリステラの小ボス感が一気に増した点が気になりました。また,アタル兄さんの瞳が美しすぎました。慈悲に溢れています。今回の2話分は嶋田先生の台詞が刺さりましたし,中井先生の作画が綺麗でした。チープな表現ですが,本当に感動しました。今後のリアル“マッスルブラザース“の活躍が気になるところです。

 

先ほど『キン肉マン』連載40周年に触れましたが,たしかに1979年(昭和54年)は令和の時代となった現在にも通じるカルチャーが花開いた年でした。南信長さんの著書『1979年の奇跡 ガンダム,YMO,村上春樹』(文春新書)にも詳しいところです。私もリアルタイムで少年時代をすごしました。GW中,幼馴染みと話した際,『キン肉マン』が現在も連載していることを知らなかったので,教えてあげました。
ちなみに,その幼馴染みと話していると,たまたま「日本人最強のレスラーは誰か?」との話題になりました。私は「ジャンボ鶴田」推しなのですが,その幼馴染みは「武藤敬司」推しでした。ジュニアヘビー級に限れば「初代タイガーマスク(佐山聡)」で争いはありません。

投稿者: 弁護士濵門俊也

令和元年5月1日は祝日か?休日か?-「10連休」の謎に迫る

2019.04.26更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。

今朝クリーニング屋さんにスーツを持って行ったところ,「濵門さんは10連休ですか?」と尋ねられました。私は「カレンダーどおりですかね。」と答えました。
今年のゴールデンウィークは,「平成」から「令和」への改元,今上天皇の退位と新天皇の即位といった重大な節目となりそうです。ただ,「10連休」の理由について深く考えていない日本国民も多くいらっしゃると思います(チコちゃんに叱られそうです。)。
そこで,今回は,「10連休」の謎について解説してみます。

●祝日と休日とは何が違うの?

祝日と休日とでは大きな違いがあります。

祝日に関する法律といえば「国民の祝日に関する法律」(以下「祝日法」といいます。)に祝日についての様々な決まりが規定されています。祝日法第1条には,「国民の祝日」(祝日)とは,「自由と平和を求めてやまない日本国民が,美しい風習を育てつつ,よりよき社会,より豊かな生活を築きあげるために,国民こぞって祝い,感謝し,又は記念する日である。」と定義されています。

この祝日法がさす「休日」には,国民の祝日,振替休日,祝日と祝日に挟まれた日,の3種類が含まれます。これを祝日法に基づく休日といい,同法第3条に規定されています。

祝日法第3条(休日)
1 「国民の祝日」は休日とする。
2 「国民の祝日」が日曜日に当たるときは,その日後においてその日に最も近い「国民の祝日」でない日を休日とする。
3 その前日及び翌日が「国民の祝日」である日(「国民の祝日」でない日に限る。)は,休日とする。

●2019年のゴールデンウィーク

ところで,5月1日が祝日か休日かでどう変わるのでしょうか?
もし祝日となりますと,4月29日は「昭和の日」,5月3日は「憲法記念日」という祝日ですから,5月1日が祝日だとしますと祝日法第3条第3項により,祝日と祝日の間に挟まれた4月30日及び5月2日の平日が休日に変わります。

そうすると,4月28日~5月6日までの9日間の大型連休が出現します。土曜日の4月27日も含めると,10日間の超大型連休になります。これが10連休の理由です。

もし5月1日がただの「休日」だとしますと,祝日法第3条第3項は適用されませんので,4月30日及び5月2日は平日のままとなり,「大型飛び石連休」に様変わりです。

さて,実際はどうなのでしょうか。
実は法律があります。2019年は,新天皇が即位する5月1日と「即位礼正殿の儀」が行われる10月22日を「国民の祝日」とすることが法律で定められました。
そうしますと,2019年のゴールデンウィークも,つぎの3種類に分けることができます。

【国民の祝日】4月29日(昭和の日),5月1日(新天皇即位),3日(憲法記念日),4日(みどりの日),5日(子どもの日)

【振替休日】5月6日(5日が日曜のため)

【休日】4月30日,5月2日(祝日と祝日に挟まれた日)

●君は「10連休」を取ることができるか?!

冒頭で「カレンダーどおり」と発言した私は「10連休」となりますが,あなたは「10連休」を取ることができるでしょうか。雇用されている従業員にとって会社に出勤しなくてもよい日,すなわち労働義務がない日というのは,国民の祝日に関する法律に拘束されません。実際は,就業規則や労働契約の規定によって決まるのです。

例えば,就業規則で「休日は土曜日,日曜日,国民の祝日とする。」とだけ規定されているだけであれば,規定を杓子定規に適用すれば,2019年の場合,4月30日や5月2日,6日は,会社所定の休日には該当しないこととなります。

その理由は,たしかに,祝日法によれば,祝日と祝日に挟まれた日なので休日とはなりますが,それは,あくまで法律上は休日となるというだけであり,労働者が勤務している会社の休日は別のルール,つまり就業規則や労働契約で決まるという点にあります。

4月30日や5月2日及び6日は,「土曜日」でもありませんし,「日曜日」でもありません。もちろん,「国民の祝日」でもありません。カレンダーでは赤字になっていても,国民の祝日ではない休日ですから会社所定の休日にならないわけです。

かりに上記の規定のような就業規則とはなっていても,「祝日法に基づく休日」には会社に出勤しない,という慣行が認められるような職場も多いと思います。
このような職場であれば,労働者と使用者側の間において,規則に明確なルールがないものの,長年守られてきた労使慣行のひとつとして,「4月30日や5月2日は会社に出勤する義務のない日である」という主張も成り立ち得ると思います。労使慣行といいますのは,就業規則等で明文化されているものではないものの,労働条件を補完するものです。

●5月1日は亡き妻の祥月命日

最愛の妻を亡くし,1年が経とうとしています。アニメ機動戦士Zガンダムに登場するクワトロ・バジーナ大尉の名言につぎ台詞があります。

「生きている間に,生きている人間のすることがある。それを行うことが,死んだ者への手向けだ。」

先日鑑賞してきた映画『キングダム』(原作ファンも納得の最高の出来栄えでした。あの個性的なキャラクター達を見事に演じられていました。戦闘シーンのアクションもすごかったです。)の冒頭でも信が漂の死を乗り越えて,「天下の大将軍」を目指します。「天下の代将軍」は目指せませんが,大志を抱いて自身の使命を全うしたいと思います。

投稿者: 弁護士濵門俊也

特段の事情がない限り,不貞行為の相手方に対し離婚に伴う慰謝料を請求することはできない

2019.02.19更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。

本日,最高裁判所第3小法廷(宮崎裕子裁判長)で注目の判決が下されました。
離婚時の精神的苦痛に対する慰謝料を,別れた配偶者の過去の不貞行為の相手方に請求できるかという点が争点となった事件です。

配偶者の不貞行為の相手方に対しては,離婚が成立したかどうかにかかわらず不貞行為の慰謝料を請求できることとされています。しかし,離婚に対する慰謝料を請求できるかについては,実は最高裁の判例がなく,初判断が示される可能性があるとして注目されていました。

結論から申し上げますと,最高裁は,特段の事情がない限り,不貞行為の相手方に対し離婚に伴う慰謝料を請求することはできないと判断しました。

 

●事案の概要と上告までの流れ

原告は関東地方に住む男性です。平成27年に妻と離婚し,その4年前まで妻と不貞交際関係にあった妻の元同僚を相手取り「不貞行為が原因で離婚した」として計約500万円の支払いを求めて提訴した事案です。ちなみに,妻には慰謝料を請求していません。

本件の事案の特殊性としては,原告の男性が元妻の不貞行為を知ってから3年以上経過していたことが挙げられます。民法724条前段は,不法行為に基づく損害賠償請求権は「損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは,時効によって消滅する」と規定しています。このため,訴えられた元不貞行為の相手方側は「時効により請求権が消滅している」と反論しました。

ところが,第一,第二審は,原告の男性の訴えを認め,元不貞行為の相手方側に約200万円の支払いを命じました。第一審判決は「不貞行為の発覚をきっかけに婚姻関係は悪化し,離婚に至った」と認定。離婚慰謝料について,消滅時効の起算点は「離婚の成立時」であるとする最高裁判例(最二小昭和46年7月23日民集25巻5号805頁)を引用し,「不貞行為により離婚を余儀なくされて精神的苦痛を被ったと主張する場合,損害は離婚成立時に初めて分かる」と判示し,慰謝料の支払いを命じたのです。

判決ははっきりとは述べていませんが,「不貞慰謝料」ではなく,「離婚慰謝料」として元不貞行為の相手方に支払いを命じたわけです。平成27年の離婚から3年以内の提訴でしたので,この枠組みであれば消滅時効にはかからないわけです。この判断第二審・東京高裁も支持しました。

この判決を元不貞行為の相手方側は不服とし,最高裁に上告したのです。

本件では,第二審の結論を変更する際に必要な弁論が開かれたことから,元不貞行為の相手方に賠償を命じた原判決が変更される可能性があるとして注目されていました。

●最高裁は,特段の事情がない限り,離婚に伴う慰謝料を請求することはできないと判断

【最高裁判決の理由,以下引用始め】

夫婦の一方は,他方に対し,その有責行為により離婚をやむなくされ精神的苦痛を被ったことを理由としてその損害の賠償を求めることができるところ,本件は,夫婦間ではなく,夫婦の一方が,他方と不貞関係にあった第三者に対して,離婚に伴う慰謝料を請求するものである。
夫婦が離婚するに至るまでの経緯は当該夫婦の諸事情に応じて一様ではないが,協議上の離婚と裁判上の離婚のいずれであっても,離婚による婚姻の解消は,本来,当該夫婦の間で決められるべき事柄である。
したがって,夫婦の一方と不貞行為に及んだ第三者は,これにより当該夫婦の婚姻関係が破綻して離婚するに至ったとしても,当該夫婦の他方に対し,不貞行為を理由とする不法行為責任を負うべき場合があることはともかくとして,直ちに,当該夫婦を離婚させたことを理由とする不法行為責任を負うことはないと解される。
第三者がそのことを理由とする不法行為責任を負うのは,当該第三者が,単に夫婦の一方との間で不貞行為に及ぶにとどまらず,当該夫婦を離婚させることを意図してその婚姻関係に対する不当な干渉をするなどして当該夫婦を離婚のやむなきに至らしめたものと評価すべき特段の事情があるときに限られるというべきである。
以上によれば,夫婦の一方は,他方と不貞行為に及んだ第三者に対して,上記特段の事情がない限り,離婚に伴う慰謝料を請求することはできないものと解するのが相当である。

【最高裁判決の理由,以上引用終わり】

当職は,あくまでも離婚に伴う慰謝料請求という性質上,本件の第一,第二審の判断については,違和感しかありませんでした。ですので,法解釈上は最高裁の判断を相当であると考えます。事案の詳細については分かりかねますが,何かしら特殊な事実関係があったのかもしれません。

投稿者: 弁護士濵門俊也