弁護士を目指されたきっかけは、何だったのでしょう?
それは、私が中学校に通っていた時の話です。ある事業に必要な機械を購入する際、連帯保証人を引き受けていた父親が、主債務者が失踪したため、裁判に巻き込まれてしまったのです。後から聞いた話によると、保証人という制度をよく知らずに、二つ返事で引き受けてしまったのだとか。最終的には、時間はかかりましたが何とか債務返済を果たし、事なきを得ることができました。しかし、一家離散の危機が迫ったあの緊張感・悲壮感は、一生忘れることができません。「我が家に起きたようなことが、二度と繰り返されてはならない」。そうした強い信念が、私に司法の道を選ばせました。
自らの体験から得られた教訓があれば、ぜひ教えてください。
「法律の仕組みを知らないと、思わぬ不幸を背負い込む」ということでしょう。
知っていることと知らないことの間には、考えている以上の隔たりがあります。もともとさまざまなことに関心をもつ性格でしたが、事件以来さらに関心をもつようになりました。年間100冊以上の読破を心がけている書籍はもちろん、テレビのバラエティ番組やドラマも大好きです。人間の行動や思考を追えば、何かしら得られるものがあると信じています。
その知見を、どのようにして日々の業務へ反映させていますか?
知識を智慧に変え、ご依頼者を「負けない人」へいざなうことです。法律というフィルターを通して見れば、落とし穴はもちろん、宝箱のありかを見つけることもできるはず。そしてそれらは、「たった、それだけのことだったの?」と思えるようなわずかな視差によって、明確に浮き出てくるのです。
とはいえ、法律事務所に対し「敷居の高さ」を感じている方も多いと思うのですが?
その通りだと思います。しかし、「こんなことを話していいのだろうか」とは決して思わず、素直に弁護士に相談してみてください。例えば、金銭的な苦しみやお悩みは、法律の力で必ず解決できます。人の命と比べれば、取るに足りない重さしかありません。
先生にとって、「法律」とは?
「紛争を解決するための道具」だと考えています。その「道具」を使い、「事件」という材料を調理し、「おいしい料理」に仕上げるのが、弁護士であると考えています。依頼者がおいしかったと言ってくれるほどうれしいことはありません。
最後に、メッセージがあれば、お願いします。
父親も、事前に知識を得ていれば、連帯保証人を引き受けなかったでしょう。もちろん、過ぎ去った人生に「if」はあり得ませんが、将来のリスクは防ぐことが可能です。ぜひ、あなたの未来を、私に守らせてください。心より、そう願っております。