弁護士 濵門俊也
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自宅を残しつつ借金の整理をする方法-個人再生とは?(その①)

自宅を残しつつ借金の整理をする方法-個人再生とは?(その①)

2015/06/10

こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。

 

最近,個人再生に関するご相談が増えています。そこで,今回から2回にわたり,個人再生について説明をします。

 

 

1 自宅を残しつつ借金の整理をする方法

 

個人再生には「住宅資金特別条項」(「住宅ローン特則」などと呼ばれることもあります。)という特殊な制度が用意されています。この住宅資金特別条項を利用しますと,住宅ローンだけは従来どおり又は若干修正して支払いつつ,その他の債務を個人再生手続によって圧縮して整理することができるのです。

すなわち,住宅資金特別条項を使えば,住宅ローンが残っている自宅を残しつつ借金の整理ができるということです。

 

ちなみに,住宅ローンが残っていない場合には,住宅資金特別条項は利用できません。この場合は,不動産価値の全部を財産として計上したうえで,個人再生又はその他の債務整理手続を検討するほかないということとなります。

 

住宅資金特別条項を利用するためには,まずは通常の個人再生の要件を満たしていることが大前提です。そのうえで,①対象となる住宅ローンが,民事再生法にいう「住宅資金貸付債権」に該当すること,②その住宅ローンの返済も含めた全体の返済計画を遂行できる見込みがあること,③抵当権を実行されてしまう可能性がないことなどの要件が必要となってきます。

 

 

2 住宅資金特別条項のいう「住宅」の意味

 

ただし,住宅資金特別条項はどんな住宅でも使えるわけではありません。住宅資金特別条項の対象となる「住宅」とは,再生債務者が所有し自ら居住する建物で,床面積の2分の1以上を居住の用に供している場合でなければならないのです。

 

たとえば,住宅資金特別条項が利用できる「住宅」は,再生債務者の所有する建物に限られるところ,ご自宅を再生債務者ご自身以外の方と共有している場合でも,住宅資金特別条項の利用は可能です。共有であっても,自己所有に変わりないからです。

しかし,自己所有の建物であったとしても,現在は居住していない住宅については住宅資金特別条項を利用することができません。

 

また,自宅兼事業所として利用している住宅については,自宅建物の床面積の2分の1以上が住居・居住スペースとして利用されている場合には,住宅資金特別条項の利用が可能です。逆に,事業所スペースが床面積の2分の1を超える場合には,住宅資金特別条項を利用することはできません。

 

そして,住宅資金特別条項を利用できるのは,1つの建物だけに限られます。したがって,ご自宅が2つ以上あっても,住宅資金特別条項が適用されるのはそのうちの1つだけとなります。

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