弁護士 濵門俊也
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砂川事件最高裁判決・田中耕太郎最高裁長官の補足意見を読む ④(完)

砂川事件最高裁判決・田中耕太郎最高裁長官の補足意見を読む ④(完)

2015/06/17

こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。

田中長官補足意見はいよいよクライマックスです。

 

「要するに我々は,憲法の平和主義を,単なる一国家だけの観点からでなく,それを超える立場すなわち世界法的次元に立って,民主的な平和愛好諸国の法的確信に合致するように解釈しなければならない。自国の防衛を全然考慮しない態度はもちろん,これだけを考えて他の国々の防衛に熱意と関心とをもたない態度も,憲法前文にいわゆる『自国のことのみに専念』する国家的利己主義であって,真の平和主義に忠実なものとはいえない。」

【コメント】

この田中長官の意見と安倍晋三首相が推し進める「積極的平和主義」とは整合するのでしょうか。

 

 

「我々は『国際平和を誠実に希求』するが,その平和は『正義と秩序を基調』とするものでなければならぬこと憲法9条が冒頭に宣明するごとくである。平和は正義と秩序の実現すなわち『法の支配』と不可分である。真の自衛のための努力は正義の要請であるとともに,国際平和に対する義務として各国民に課せられているのである。」

【以上,引用終わり】

【コメント】

「立憲主義」は,人権尊重や権力分立を備えた法によって国家の権力濫用から国民を守ろうとする思想ですが,この前提問題として「法の支配」が指摘されます。「人の支配」ではなく,「法の支配」でなければならないという規範が成立しなければ,立憲主義の議論をしても無意味であるからです。「日本では立憲主義以前に法の支配すら危うい」との警鐘を鳴らす書籍に,大澤真幸・木村草太共著『憲法の条件 戦後70年から考える』(NHK出版新書・2015年)があります。大澤真幸さんは日本を代表する気鋭の社会学者ですが,著作を拝読しますと,頭がよく動きます。脳をゴシゴシ洗っている感じです。読後は,少し頭がよくなった気がします(個人の感想です。)。

 

 

 

さて,いかがでしたでしょうか。読者の方々の参考となれば幸いです。

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