こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也（はまかど・としや）です。

 

　日本では，連日高校野球の熱戦が繰り広げられておりますが，太平洋を隔てたアメリカの地では，ものすごい記録が達成されました。

　シアトル・マリナーズ（以下「マリナーズ」といいます。）の岩隈久志投手（以下「岩隈投手」といいます。）が，8月12日（日本時間13日）の本拠地ボルチモア・オリオールズ戦で日米通じて自身初のノーヒットノーランを達成したのです。7奪三振3四球で今季4勝目（2敗）を挙げた右腕の偉業は，日米で大きな話題を呼んでいるようです。野球ファンである当職も狂喜乱舞しました（昨日は，同業者が凶行に遭うというニュースも話題となりました。同僚の弁護士などは，いくつかのワードで被害者弁護士を特定しました。恐ろしい時代です。）。

　MLB公式サイトでは，メジャー史で継投による達成も含めて291度目となった岩隈投手をデータで特集しています。

 

１　34歳での偉業達成

 

　まず記事で取り上げられているのは，「34歳での偉業達成」という事実です。34歳以上のノーヒットノーランは，マリナーズOBでもあるランディ・ジョンソン投手が，2004年5月18日にダイヤモンドバックスの一員として40歳で達成したブレーブス戦での完全試合まで遡るというから驚きです。記事では，岩隈投手がそれ以来では最年長での達成記録となったことにも言及されています。

 

２　DH制度のあるアメリカン・リーグでの偉業

 

　また，DH制度（指名打者制度，DHは「designated hitter」の略です。）が導入されているアメリカン・リーグ（以下「ア・リーグ」といいます。）でのノーヒットノーランは，投手が打席に立つナショナル・リーグ（以下「ナ・リーグ」よりも至難の業とされていますが，岩隈投手を含めて最近3度の達成はいずれもマリナーズだそうです。このマリナーズによる3連続同一球団のノーヒッターは，1960年のブレーブス以来の記録となったといいます。

 

３　両リーグ最長ブランク

 

　岩隈投手以前に最後にア・リーグでノーヒッターを成し遂げたのは，2012年8月のヘルナンデス投手で，ほぼ3年間ぶりの達成となったが，この空白期間は両リーグ最長ブランクであると記事では紹介されています。ちなみに，この間，ナ・リーグでは12回もノーヒッターが実現しているそうです。

 

４　日本人投手2人目の快挙

 

　日本人としては，ロサンゼルス・ドジャースとボストン・レッドソックスで2度達成している野茂英雄投手以来2人目という事実も，記事ではしっかりと紹介してされています。

 

５　「絆」に込めた思い

 

　最後に，MLB公式サイトの記事とは関係ありませんが，岩隈投手といえば「絆」ということに言及したいと思います。

　岩隈投手は，快挙達成後に「一歩一歩前進している東北の皆さんに勇気を与えることができたかなと思う」と思いをはせていました。

　岩隈投手は，東北楽天ゴールデンイーグルスで2005年から7年間プレーしました。在籍最後の2011年に東日本大震災に遭い，「1勝につき10万円」の寄付活動，野球教室の開催など復興支援活動に携わってきたことはよく知られています。昨年11月には，岩手県沿岸部を走る三陸鉄道の社員や沿線の住民らをメンバーとする草野球チーム「鉄道キットDreams」のゼネラルマネジャーに就任されており，東北との「絆」を大事にしています。

　このような「野球人」だけでなく「人間」として偉大な点も岩隈投手の魅力です。