子どもらを守れ!ー少年の深夜徘徊の規制
2015/08/24
こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。
先週末,大阪府高槻・柏原(かしわら)両市で,同府寝屋川市の中学生2人の遺体が見つかった事件で急展開がありました。13歳の女子中学生に対する死体遺棄罪の被疑事実で,45歳の被疑者が逮捕されたのです。おそらく本日付けで勾留請求されているものと思います。
連日の報道によりますと,被害者となった中学生2人の姿は,防犯カメラに写っています。とくに,8月13日(木)午前1時から5時ころ,京阪本線寝屋川市駅近くの商店街を,2人とみられる男女が行ったり来たりする様子を見ますと,どうしてこの時大人が声をかけられなかったかなと悔やんでしまいます。
今回の事件に限らず,年端もない「少年」(法律家なので,あえて「少年」といいます。当然ながら少女も含みます。)が深夜に出歩くことには大きな危険が伴うはずです。
法令でも,少年の深夜徘徊を防ごうとしています。
●青少年保護育成条例における規制
まず,各都道府県で定められている青少年健全育成条例では,18歳未満の青少年の深夜外出の制限について,ほぼ同内容の規定を設けています。
具体的には,次のような内容です。
① 保護者は,正当な理由がある場合を除いて,深夜(午後11時から翌日午前4時まで)に青少年を外出させないように努める。
② 第三者は,保護者から頼まれたり,同意を得た場合,その他正当な理由がある場合を除いて,深夜に青少年を連れ出したり,同伴したりしてはならない。
③ 第三者は,深夜に外出している青少年に対し,その保護及び善導に努める。
④ カラオケボックスやマンガ喫茶などの事業者に対しても,青少年を深夜に入店せないようにする義務なども課しています。
①や③は努力義務ですから罰則はありませんが,②や④は30万円以下の罰金に処せられます。今回事件のあった大阪府も同様です。さらに,16歳未満の場合は,対象となる時間帯を「午後8時から翌日午前4時まで」とするなど,より厳しくしています。
●法律による規制
風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)では,青少年のたまり場になりやすいゲームセンターなどについては,18歳未満の少年少女たちが午後10時以降に入店してはならない旨を店舗入口に表示する義務を課しています。
また,実際に入店させた場合には,より厳しい罰則を設けるなどしています。
●「加害者が100%悪い」との思想の啓蒙を!
角度を変えますが,少年が被害者となる事件を防ぐために,大人ができることはあります。その中には,「加害者が100%悪い」との思想を啓蒙することが重要であると思います。
防犯教育は大切ですが,被害に遭ってしまった時には,子どもを責めないでください。
子どもは被害者であり,子どもに非がないからです。加害者が100%悪いのです。
親御さんの中には,お子さんに対し,「どうしてついて行ったの!」,「なぜ,そんな危ない道を通ったの!」といった叱り方をされている方もおられるのではないでしょうか。
もちろん,親御さんに悪意はなく,むしろ子どもが心配だからこそ,ついその言葉が出るのでしょうが,子どもは逃げ場を失ってしまいます。
また,インターネット等が普及している現代では,心ない世間の声で,「なぜ逃げなかったのか」などと責め立てられることもあるようにみえます。
親は絶対に子どもらの味方になりましょう。地域や学校は,子どもらと家族を守ろうではありませんか。
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弁護士 濵門俊也
東京都中央区日本橋人形町1-6-2 安井ビル5F
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