弁護士 濵門俊也
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いわゆる「民泊」の法的問題点

いわゆる「民泊」の法的問題点

2015/10/21

こんにちは。日本橋人形町の弁護士・濵門俊也(はまかど・としや)

 

 最近「民泊」という言葉を聴く機会が増えました。Airbnb(エアビーアンドビー)など個人宅宿泊のネット仲介サービスも急速に普及しています。マンションなどの空き部屋を宿泊施設として活用する,いわゆる「民泊」は,法的に「グレー」と言われておりますが,経済・地域活性化につながると期待されている事業の一つです。

 そこで,今回は,「民泊」の法的問題点について考えてみます。

 

●旅館業とは何か?

 旅館業は,旅館業法に規定があります。

 旅館業とは,「施設を設け,宿泊料を受けて,人を宿泊させる営業」をいい,ここにいう「営業」とは,社会性をもって継続・反復されているものを指します。

 これを,仲介サイトに登録している個人宅ホストに当てはめてみますと,取引対象が世界中の仲介サイト閲覧者となるため,「社会性」が認められます。また,一度ゲストを宿泊させた後も,引き続き仲介サイトに登録し続けているとすれば,継続・反復の意思があるとみなされる可能性があります。結果,「営業」に該当する可能性が高いといえます。

 

 旅館業法上,営業の種別は,ホテル営業,旅館営業,簡易宿所営業(カプセルホテル,ドミトリー等),下宿営業の4つがあり,その営業種別毎に,許可を受けるための要件が課されています(許可主体は都道府県)。

 そして,ホテル営業については部屋数10室以上,旅館営業については部屋数5室以上といった要件が課され,いずれも玄関帳場(フロント)が必要とされます。

 そのため,現在の個人宅が,客室数要件や玄関帳場要件が課される「ホテル営業」や「旅館営業」の許可を取得することは通常困難です。

 また,下宿営業は,1か月以上の期間を単位として人を宿泊させる営業種別ですから,そもそも民泊になじみません。許可を取得するとすれば,「簡易宿所」の営業許可となります。しかし,簡易宿所についても,客室の延床面積が33㎡以上必要でありますし,条例で玄関帳場の設置が求められることもあるため,構造上,同許可を取得できない個人宅もあると思います。

 

●民泊の必要性と危険性の止揚

 民泊のニーズは確実にあります。近年増加の一途をたどる外国人観光客は,我々日本人の「日常」にこそ興味と関心を寄せています。それが地域の観光に資する,まさに「地域創生の目玉」となる可能性は極めて高そうです。

 しかし,他方で,現在はどこで誰を泊めているのかまったく把握できない状況であり,かなり危険な面もあります。

 たとえば,①感染症が起きても,その発生源を追跡できない。②不法滞在者が逃げ込む。③違法な営業活動の拠点となる。④ホストとゲスト間のトラブル,ホストと不動産所有者とのトラブルなどのリスクが考えられます。

 適正な規制のもとで監督し,でき得るかぎり不測の事態に対応できる体制づくりが必要であると思います。

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弁護士 濵門俊也
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