弁護士 濵門俊也
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再婚禁止期間規定の合憲性,ついに大法廷判断へ!

再婚禁止期間規定の合憲性,ついに大法廷判断へ!

2015/11/04

こんにちは。日本橋人形町の弁護士・濵門俊也(はまかど・としや)です。

 

 本日,以下に引用するニュースが入ってきました。違憲判決が下される可能性が高まった気がします。

 

【以下,引用始め】

再婚禁止期間めぐる訴訟,弁論開く 最高裁

 

 女性だけが離婚後6カ月間は再婚できないとする民法の規定は,「法の下の平等」などを定めた憲法に違反するとして,岡山県に住む30代の女性が国に損害賠償を求めた訴訟で,最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は4日午前,当事者の意見を聞く弁論を開いた。この日で結審し,年内にも大法廷として初めての憲法判断を示す見通しだ。

 女性は2008年に元夫と離婚した。当時,現在の夫との間の子を妊娠していたが,女性のみに再婚禁止期間を設けた民法733条の規定により,離婚後の6カ月間は現在の夫と再婚できなかった。

 女性は精神的苦痛を受けたとして,165万円の損害賠償を国に求めて11年に岡山地裁に提訴。民法733条は,「法の下の平等」を定めた憲法14条や,結婚についての法律は両性の平等に基づいて制定されるとした憲法24条に反すると訴えた。しかし,12年10月の一審・岡山地裁と,13年4月の二審・広島高裁岡山支部の判決はともに,「離婚後に生まれた子の父親をめぐって争いが起きるのを防ぐために設けられた規定で,合理性がある」などとして請求を退けた。

 4日午後には,夫婦を同姓とする民法750条の規定が憲法に違反していないかが争われた別の訴訟でも,最高裁大法廷で弁論が開かれて結審する。この訴訟も,年内にも判決が出る見通し。(朝日新聞デジタル 11月4日(水)11時27分配信)

【以下,引用終わり】

 

 再婚禁止期間規定の合憲性は,憲法学の重要論点の一つであり,平成15年度旧司法試験第二次試験論文式試験問題として出題されたこともあります。当職も当時を思い出しながら小問1について答案を起案してみました。かつては,この程度でもA(上位500番)がついていましたが,現在の司法試験のレベルはどうなんでしょうか。

 

【憲法】第1問

 以下の場合に含まれる憲法上の問題点について論ぜよ。

 1 再婚を希望する女性が,民法の再婚禁止期間規定を理由として婚姻届の受理を拒否された場合

 2 女性のみに入学を認める公立高等学校の受験を希望する者が,男性であることを理由として願書の受理を拒否された場合

(出題趣旨)

 本問は,憲法第14条第1項の「法の下の平等」に関する一般原則を踏まえて,性別に基づく異なる処遇の合憲性について,再婚禁止期間規定(民法第733条)と公立女子高等学校の事例をあげて論じさせる問題である。

 

【当職作成にかかる小問1の答案】

 再婚を希望する女性が民法の再婚禁止期間規定(民法733条1項)を理由として婚姻届の受理を拒否された場合,かかる規定及び受理を拒否した処分は憲法第14条第1項,同第24条第2項に反しないか。

1 この点,14条1項は平等原則を定めている。ここにいう「法の下」の平等の意義が問題となるが,不平等な法律を平等に執行しても平等は実現できないことから,法適用の平等のみならず法内容の平等まで含まれると解すべきである。

2 つぎに,「平等」の意義が問題となるが,社会において事実上存在する差異を無視することはできないから,合理的区別を許容する相対的平等を意味すると解すべきである。

3 また,24条2項は,24条1項の婚姻の自由を尊重するため,婚姻に関する法律は個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して制定されなければならないとしている。これは,平等原則の婚姻についての現れといえる。

4 それでは,本問の規定は合理的区別であり,14条1項,24条2項に反しないといえるか。合憲性判定基準が問題となる。

  この点,「性別」による差別は14条1項の後段列挙事由に該当する。そして,後段列挙事由については歴史的にみて不合理な差別が行われてきた事実が存在するから特に明示されたものであり,それ以外に関する差別と比べて厳格な基準が妥当すると解する。

  その中でも,「人種」「信条」「性別」については,個人の意思によっても変えることが困難なことが多い事由であるから,さらに厳格な基準によって判断する必要がある。

  そこで,具体的には,①目的がやむにやまれぬ重要な利益であるか,②手段が目的達成のためぜひとも必要な最小限度といえるか,によって判断すべきである。

5 本小問の規定の立法目的は,父性の推定の重複を回避し,父子関係をめぐる紛争を未然に防ぐ点にある(民法772条2項)。これは婚姻の安定を図り,子の身分が不安定になることを防止するものであり,やむにやまれぬ重要な利益であるといえる(①)。

  つぎに,目的達成のための手段は,女性に対し6か月間の再婚禁止期間を課すという方法が採られている。

  たしかに,妊娠の初期においては妊娠の有無は医学的にみても判断しにくい。しかし,民法772条が,婚姻成立の日から200日後,婚姻解消の日から300日以内に生まれた子を嫡出子と推定していることからすれば,父性推定の重複を回避するためには,100日の期間で足りるはずである。そうであるとすれば,6か月もの間再婚禁止期間を課すことは,目的達成のためにぜひとも必要な最小限度であるとはいえない(②)。

  したがって,本問の規定及び処分は14条1項,24条2項に反し,違憲である。  以上

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