刑事裁判における被告人の欠席ー元兵庫県議会議員の公判期日開けず
2015/11/24
こんにちは。日本橋人形町の弁護士・濵門俊也(はまかど・としや)です。
日帰り出張を多数繰り返したなどとする虚偽の収支報告書を作成し,政務活動費などをだまし取ったとして,詐欺と有印虚偽公文書作成・同行使の罪に問われた元兵庫県議会議員の被告人(49歳)の初公判が,本日平成27年11月24日,神戸地方裁判所で開かれる予定でしたが,被告人が欠席したため,この日の公判は中止されたとの報道がありました。
被告人の弁護人によりますと,被告人は出廷する予定だったそうですが,約10日前から精神的に不安定となり通院していたそうです。22日昼ころから,マスコミ関係者とみられる人物が大阪市内の居所を訪れ,呼び鈴を鳴らされるたび警察に通報するなど,さらに精神的に不安定となったそうです。
被告人が24日早朝,出廷しようと玄関を出たところ,マスコミ関係者とみられる人物と鉢合わせとなってしまい家に戻ってしまったそうです。そして,午前8時半ころ,「精神的に出廷できる状況にない」とのメールが送られてきたそうです。弁護人は説得を試みたそうですが,被告人本人の意向が強く,結局欠席となったといいます。
さて,刑事裁判において,被告人が出廷しなくても裁判が開けるのでしょうか。今回は,刑事裁判における被告人の欠席について説明します。
そもそも,刑事裁判においては,被告人が出頭することが原則として義務付けられています。
すなわち,刑事訴訟法第286条において,「………,被告人が公判期日に出頭しないときは,開廷することができない。」と定められているのです。
しかし,被告人がどうしても裁判所に来ないときにまで,公判期日が開けないとなると非常に困ったことになります。
そこで,例外的に被告人が裁判所に出廷しなくてもよい場合を定めた規定があります。刑事訴訟法第286条の2には,「被告人が出頭しなければ開廷することができない場合において,勾留されている被告人が,公判期日に召喚を受け,正当な理由がなく出頭を拒否し,刑事施設職員による引致を著しく困難にしたときは,裁判所は,被告人が出頭しないでも,その期日の公判手続を行うことができる。」と定められています。
上記元兵庫県議会議員の事件の報道には,被告人が正当な理由がなく出頭を拒否するなどして,裁判所に行くことを拒んだような状況はなさそうです。
今後,上記事件の裁判がどのように進められるのか,非常に興味深いところです。
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弁護士 濵門俊也
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