今日12月23日は天皇誕生日です!
2015/12/23
こんにちは。日本橋人形町の弁護士・濵門俊也(はまかど・としや)です。
本日12月23日は,天皇誕生日です。天皇陛下(現在在位されている天皇を「今上天皇」と一般的に呼んでいます。これは天皇陛下のお名前ではありません。ちなみに,本来は「今上」という言葉だけで現在の天皇を意味するので,「今上天皇」だと重言になってしまいます。しかし,追号を与えられた過去の天皇らと並べる際に「今上」,あるいは追号を与えられた天皇と同様に尊称を付けて「今上陛下」として並べますと,「明治天皇,大正天皇,昭和天皇,今上(陛下)」となってしまい,並びが良くありません。このため,「今上天皇」と呼称することが一般化してしまっているという経緯があります。)は,御年82歳となられました。天皇陛下は,ご自身の誕生日に当たっての記者会見において,大東亜戦争(太平洋戦争)中に旧日本帝国軍に徴用された民間船の船員が多数犠牲となったことについて,声を震わせながら話される場面がありました。
会見で天皇陛下は,この1年の出来事について述べられた後,今年が戦後70年に当たることに鑑み,戦争の話題を切り出されました。先の戦争において民間人も含め多くの人命が失われたことを「非常に心が痛みます」と述べ,戦没船員の話題に及ばれると,お声が震え始められました。
天皇陛下は幼いころ,船の絵はがきを見て楽しんでおられたそうですが,それらの船のほとんどが撃沈されたことを後に知ったと吐露されました。声を震わせながら「制空権がなく,輸送船を守るべき軍艦などもない状況下でも,輸送業務に携わらなければならなかった船員の気持ちを本当に痛ましく思います」と話されました。感情が込み上げてきた様子がうかがえました。
6月に神奈川県横須賀市で行われた第45回戦没・殉職船員追悼式の際には,亡き船員を思い,「戦没船員の碑」に供花したと述べられました。
大東亜戦争(太平洋戦争)では,米軍などに撃沈され,民間船の船員ら6万人余りが犠牲となっております。天皇,皇后両陛下は第1回や第30回,第40回の追悼式に出席するなど,戦没船員に長年心を寄せてこられました。戦争ほど残酷で悲惨なのものはありません。戦後70年の今年は,当職も思索をさらに深めることができました。天皇陛下は戦争は国民を不幸にすることを皮膚感覚で教えてくださっています。
憲法学の世界では,「天皇のおことばの合憲性」という論点があります。日本国憲法第1条は,天皇の地位について,「日本国の象徴であり日本国民統合の象徴」(この「統合の」という訳文は,法律用語とはいえませんが,わが国の歴史をふまえた絶妙な訳であると感心しています。)と規定しておりますが,天皇陛下が「おことば」を述べられる行為は,日本国憲法上の制約を強く受けるものなのです。その意味において,天皇陛下が「おことば」を述べられる度,陛下の勇気と強さを感じます。国民に寄り添い,国民と同苦し,励ましを送られている稀有な公人のお一人と感服しております(ちなみに,「公の人」を「こうのひと」と言っておられた著名な方がおられました。だれに聴いたか知りませんが,通常は「おおやけのひと」と読むのではないでしょうか。)。
「公人」たるべき人がまったくその職責を果たしていない現状をみますと,あきれるかぎりです。「ノブレス・オブリージュ(仏語: noblesse oblige)」こそ重要であると思います。人物を見極める審美眼をしっかり身につけなければなりません。
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