もう一つの『防災の日』の由来をご存じですか?
2016/09/01
こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。
本日9月1日は『防災の日』です。この日は,関東大地震を教訓とするために定められました(昨年の今日「9月1日は『防災の日』」と題するブログを書いておりますので,興味のある方はご覧ください。)。
この日にはもう一つ,防災に関する由来があるのをご存じですか。
それは「二百十日」という厄日です。
古来わが国では,二百十日は暦の上で雑節の一つとして,江戸時代初期の1656年(明暦二年)に,伊勢暦で初めて使用され,貞亨改暦(1684年)の際,幕府天文方に就任した渋川春海によって,初夏を知らせる八十八夜とともに,暦に記載されました。
この雑節は,立春から数えて210日目の日,太陽暦では9月1日ころが,220日目の二百二十日とともに,台風が襲来する厄日とされています(最近では,閏年のため日にちがずれてきていますが,この時期が台風シーズンであることは統計上疑いありません。)。
関東大震災時にも,折からの突風が吹き荒れており,東京は3日間にわたって燃え広がり,出火規模は130カ所以上にのぼったといわれています。
もともとは,稲の穂が出始める時期の,農事のうえで大切な時期に台風が襲来し,田んぼが泥水につかったり,強風で稲の花が吹き飛ばされてしまい,せっかく丹精に作ったお米が実らなくなってしまうことから,凶作に見舞われる「厄日」とされていました。
この日は日本の文豪達の執筆活動や,私生活にも影響を与え,作品にまでなったものもあります。
代表的なものとしては,夏目漱石の『二百十日』(タイトルそのままです。当職の故郷である熊本の阿蘇山が舞台です。)や松尾芭蕉の『野分』(実は,野分というのは,二百十日や二百二十日前後に吹く強風のことです。今でいうところの台風ですね。)が有名です。
先週から今週にかけては台風10号による大雨の影響によって,東北や北海道において甚大な被害が発生しました。孤立している住民の方がおられる地域もあります。謹んでお見舞い申し上げます。
統計的には,この厄日にとくに台風が襲来しやすいというだけではなく,「9月の台風シーズンを控えての心構え」という意味をこめて命名されたとも言われています。まさに「油断大敵」といえましょう。
いずれにしても,「二百十日」という雑節と,「関東大地震」が,防災の日の制定に,大きく関わっていることには間違いありません。
----------------------------------------------------------------------
弁護士 濵門俊也
東京都中央区日本橋人形町1-6-2 安井ビル5F
電話番号 :
03-3808-0771
FAX番号 :
03-3808-0773
----------------------------------------------------------------------