2016年(平成28年)開幕!ー「仕事はじめ」の文字を考える
2016/01/05
こんにちは。日本橋人形町の弁護士・濵門俊也(はまかど・としや)です。
いよいよ平成28年(2016年)が開幕し,今日から「仕事はじめ」という方もおられると思います。ここに「仕事はじめ」と書きましたが,これは「仕事始め」と「仕事初め」どちらの漢字が正しいのでしょうか?
インターネット上で見てみても,両方の用例があがっているようですし,意外に正確には理解して使用されていない方も多いようにお見受けします。
当職は,弁護士であるところ,裁判所法第74条は,「裁判所では,日本語を用いる。」と規定しておりますので,ついつい日本語にはうるさくなってしまいがちです(もっとも,日本語の乱れに厳しいのは当職の妻のほうでして,しばしば正確に使うよう指摘を受けております。)。
また似たような用語として「御用始め」というものがあります。ついでに,「御用始め」の意味についても解説してみます。
●「仕事始め」と「仕事初め」では,「仕事始め」が正しい
これは,日本語の意味を考えれば,容易に区別できるものと思います。「始め」と「初め」の意味の違いですが,「始め」は始める(英語でいえば,start)を意味し,「初め」は初めて(英語でいえば,first)を意味します。
「仕事始め」は新年を迎え,初めて仕事を「始める日」であり,「初めて仕事をする日」ではありませんから,「始め」のほうが正しくなります。
●「仕事初め」を使う人がいるのはなぜなのか?
日本語の意味を考えれば,間違いようがない気もするのですが,「仕事初め」を使用する人も結構おられます。それはなぜなのでしょうか?
少し考えてみます。
まず考えられるのは,パソコンやスマートフォンの変換機能です。
たしかに,パソコンやスマートフォンなどで変換すると「仕事始め」と「仕事初め」は両方とも出てきます。変換候補に出てくることから正しい使い方なのではないかと思ってしまう人もおられる可能性があります。
また「書き初め」という単語が影響していることも考えられます。
「書き初め」はその年の初めに書く文字であるため,「仕事始め」と混同しておられる方もいてもおかしくはないのかもしれません(ただ,「ぞめ」は「初め」しかないのですが…)。
●御用始めとの違いは何か?
仕事始めによく似た用語として「御用始め」というものがあります。
「御用始め」も意味自体は仕事始めと大差はなく,現在は,官公庁における仕事始めの用語として使われています。
元々は民間企業においても「御用始め」が使われていたようですが,堅苦しい言い方を和らげるために「仕事初め」という単語が使われるようになったようです。
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