「ポケモンGO」狂奏曲ーープレイ上の法律問題を斬る!
2016/07/28
こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。
先週7月22日(金),わが国でも配信が開始された「ポケモンGO」。当職はポケモン世代ではなく,「ウルトラ怪獣」のほうが詳しい世代です(どうでもいい話ですが,いまだに500体以上の怪獣データが頭にあります。)が,早速アプリをダウンロードし,最初のチュートリアルで「ピカチュウ」をゲットしました(当職に内緒で先行してプレイしていた妻にうらやましがられました。)。
ニュース報道によりますと,この「ポケモンGO」をめぐって,各地でトラブルが相次いでいるようです。プレーしながら自動車や原動機付自転車を運転していた人が検挙されるケースや,デマとみられる情報が流れて,大勢の人が深夜の公園に殺到したケースがありました。また,立ち入り禁止の区域に入ってしまう人らも続出しているようです。
上記各ケースには,法律上の問題点も含まれているので,今回はその点を少し解説してみます。
●自転車を運転しながらプレーすると道路交通法違反!
東京都練馬区では,プレーしながら自転車に乗っていた男子大学生が別の自転車と接触するという事故が起きました。そもそも,プレーしながら自転車を運転する行為は,法律論以前に極めて危険な行為です。そして,「ポケモンGO」をしながら運転する行為は,運転中の携帯電話使用に当たり,道路交通法違反に該当する行為です。
自転車の場合,即罰金ということにはならないですが,注意を受け,2回以上通続けて摘発されると安全講習を受講することになります(昨年の道路交通法改正)。
これに対し,自動車の場合はさらに重い罰則があります。法律上は懲役刑まで規定されていますが,通常は9000円の反則金を支払うこととなっています。
●立ち入り禁止区域に侵入すると建造物侵入に当たることも
ニュース報道によると,ポケモンを求めて,立ち入り禁止の区域や他人の敷地内に入るケースも発生しているようです。他人の家の中や敷地内に家人の承諾なく入る行為は住居侵入罪や建造物侵入罪に該当することがあります。ポケモンゲットのために,上記のような行為に及べばとんでもないこととなってしまうことを肝に銘じてください。
●デマを流す行為は法律上問題があるか?
名古屋では,レアなポケモンが出たとの情報が出回り,深夜であるにもかかわらず,愛知県名古屋市昭和区に所在する鶴舞公園に大量に人が押し寄せたことは報道のとおりです。現代社会においては,SNSが普及しており,デマなんて流せばただちに拡大します。
デマを流すことそれ自体が,ただちに法律に違反するわけではありません。ただし,デマによって他人の仕事を妨害するような事態になってしまったような場合,偽計業務妨害罪等に問われてしまう可能性があります。たとえば,特定の店舗や施設に「レアなポケモンが出た!」などとSNSで発信して,その施設に大量に人が押し寄せた結果,業務に支障をきたしたような場合が考えられます。
本日(平成28年7月28日),関東もついに梅雨が明けました。いよいよ本格的な夏の到来。世間的には楽しい夏休みも迎えます(ちなみに,当職には夏休みはありません。)。いずれにせよ,その他の法的な問題が発生する可能性がありますので,常識の範囲で楽しく遊んでほしいと思います(どうでもいい話ですが,電池の減り方が尋常ではない点は辟易しますね。)。
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弁護士 濵門俊也
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