ノーベル文学賞とプミポン国王崩御
2016/10/14
こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。
今日10月14日は「鉄道の日」ですが,昨日13日に当職がとくに注目したニュース報道が2件ありました。
まず一つ目は,スウェーデン・アカデミーが,ノーベル文学賞を米国の歌手ボブ・ディランさん(75)に授与すると発表したというニュースです。歌手(ボブ・ディランさんはシンガーソングライターです。)が同賞を受賞するのは初めてのことです。
スウェーデン・アカデミーは,ボブ・ディランさんを「偉大なアメリカ歌謡の伝統の中で新たな詩的表現を創造した」と評価しました。どうでもいい話ですが,ボブ・ディランと聞きますと,ガロの『学生街の喫茶店』の歌詞を思い出します。
つぎに二つ目は,タイの国王であるプミポン国王(88)が崩御なされたというニュースです。わが国では「プミポン国王」の名称で知られていますが,これは通称であり,ラーマ9世(チャクリー王朝第9代のタイ国王)が正式です。在位期間は,1946年6月9日から2016年10月13日までという70年にも及びました。世界で最も長く君臨していた国家元首であり,何世代にもわたってタイの社会を支えた存在だったといえるでしょう。
ちなみに,通称であるプーミポンアドゥンラヤデートは,「大地の力・並ぶ事なき権威」の意味だそうで,本来はタイ語においては(称号なども含めて)後ろのアドゥンラヤデートと不可分一体であり,プーミポンだけで呼ばれることはほとんどないそうです。
ニュース報道等をみますと,タイの国全体が喪に服している状態です。
嘆き悲しむ国民たちは,国王の肖像画を掲げ,タイの首都バンコクの街角で祈りをささげていました。国王が治療を受けていたシリラート病院の外に集まった群衆の多くは,王に幸運が訪れることを願ってピンク色の服を着ていました。プミポン国王がタイで敬愛されていることの証左といえます。
タイ王国は立憲主義の国ですが,政府に問題が起こったときには国王が仲裁役として大きな役割を担ってきた歴史があることは皆さんご存じのとおりです。70年間に及ぶ在任中,クーデターや政治的な対立が起きたとき,国王は常に政治的な権力を行使してきました。2014年5月にもクーデターが発生しましたが,現在は国王の承認を得たのち,軍政の支配下にある状況です。
懸念されるのは,プミポン国王の崩御により,タイが今後政治的に不安定な時期に入るのではないかという点です。マハ・ワチロンコン王太子(わが国のマスメディアは「皇太子」と表記・呼称するのですが,皇帝や天皇の継承者ではないのですから,誤用であると思います。)が王位を継承するのはよいとして,圧倒的に力量やカリスマ性が先王に劣ることは紛れもない事実だからです。新国王が先王ほど国民や政治に対して強い影響力を持たないおそれがあるとすると,王位を実質的な意味で簒奪しようとする輩が現れる可能性は否定できません。
タイ国民は「まことの時」に遭遇しています。悲しみを乗り越えて,国難を乗り切っていただきたいと切に願っています。
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弁護士 濵門俊也
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