離婚した後に名字をどうするの?戸籍をどうするの?(上)
2015/05/28
こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。
離婚した後に名字(法律上は「氏」といいます。)をどうするのか,戸籍をどうするのかについては,特に婚姻によって氏を変更した方(我が国では主に女性となっています。)にとっては,重要な問題になってきます。今後2回に分けまして,論じていきたいと思います。
1 離婚後の氏について
⑴ 婚姻のときに氏を改めなかった人の場合
夫婦は婚姻の際,夫又は妻の氏のどちらかの氏を称することとなります(民法第750条)。婚姻により氏を改めなかった人(結婚後もそのままの名字を名乗っていた人)は,離婚をしてもそのままの氏を名乗ることになります。
⑵ 婚姻により氏を改めた人の場合
他方,婚姻により氏を改めた人は,離婚をすると婚姻前の氏(旧姓)に当然に戻ることとなります(これを「復氏」といいます。)。
ただし,婚姻時の氏を離婚後もそのまま名乗っていきたい場合は,離婚の日から3か月以内に,戸籍法上の「離婚のときに称していた氏を称する旨の届」を出せば,結婚していたときの氏を名乗ることができます(これを「婚氏続称制度」といいます。)。
このように,婚姻によって氏を改めた人は,離婚をする際に旧姓に戻ることも,そのままの氏を名乗ることもできるのです。この届出は,離婚の届出と同時にすることも可能です。そこで,離婚を決意するに際しては,「氏をどうするか」という問題も決めておくとよいでしょう。なお,届出先は夫婦の本籍地又は届出人の所在地の役所となります。
2 婚姻により氏を改めた人の「氏の変更許可の申立て」
「婚氏続称の届」は,上記のとおり,離婚の日から3か月以内とされています。この期間は,たとえ地震などの自然災害があったとしても延長されないと考えられています。その趣旨は,「離婚後の氏は,すみやかに確定させるべき」という政策的観点によるものです。
ただし,3か月を過ぎたからといって,必ずしも「そのままの氏が名乗れなくなる」ものではありません。かりに,離婚して3か月以上経ってから,婚姻していたときの氏を名乗りたいと思った場合は,「氏の変更許可の申立て」(戸籍法第107条第1項)を家庭裁判所に対して行うことになります。
この「氏の変更」が認められるためには,「やむを得ない事由」がなければならないとされています。「やむを得ない事由」とは,「単に気に入らない」というだけでは認められず,現在の氏により社会生活上で不利益・不便が生じているなどの事情が必要です。
一般的には、「離婚によって旧姓に戻った方が氏の変更をする場合」や,「婚氏続称をした人が旧姓にやっぱり戻りたい」という場合の「氏の変更」は,ほかの場合よりも認められやすい,というのが裁判例の傾向です。
やはり,家庭裁判所への申立てに必要な時間的・労力的な負担があることや,氏の変更が裁判所に許可されない可能性もあることを考えると,離婚時までに「氏の選択」を行い,婚姻時の氏をそのまま名乗りたいという場合には,期間内に届出を出しておくべきでしょう。
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